幸福時間

　先週、久しぶりに親友に会ってきました。
　会いたい会いたいと思いつつも、ハク自身深夜という不規則な仕事をしているし、彼女も仕事と育児もありなかなか時間が合わず。
　気づけば、かなり長い間会わない時間が過ぎていました。
　彼女はかなり身体が大きい人だったんですが、会った時思い切り痩せていて吃驚しました。
　彼女自身、あまりに変わった事を気にしている風情もあったんですが、ハクにとってはやはり彼女は彼女のままです。
　話し方や、何気ない仕種、ハクを見てくれる時に細められる優しい目。
　みんな、みんな、彼女のままでした。
　人生の半分以上を、親友という立場で過ごし、こんな大人になってまで一緒に居られる事が、本当に嬉しくて。
　久しぶりに会えた彼女の子供と共に、笑いに笑った数時間でした。
　ただ一緒に居ても、殆ど愚痴を言う事のなかった彼女が、話の端々で悩みを相談してくれる場面もあったわけですが・・・。
「久しぶりに会ってるのに、こんな話でごめんね。本当にごめんね」
　何度も謝ってくれる彼女でしたが、ハクには彼女がそういう話をする相手に私を選んでくれているのが、実は誇りです。
　誰にも弱さも辛さも見せず、「なんとかやってるよ～」と笑う彼女が、唯一ハクには弱っている所を見せられる。
　幼い頃から、ずっとずっとハクを支えてくれた彼女に、ハクが彼女に返せる少ない事の一つですから。
　だから、彼女の相談に対し、ハクの答えは決まっています。
「後悔だけはしないようにね。最悪の事が起こっても、あなたは自分の行動を他人に責任転嫁する人ではなく、全て自分で被る事が出来る人だと思ってるから。だからこそ、私は何が起こっても、絶対にあなたの味方だよ」
　何度も何度も繰り返して、彼女はその度に、何度も何度も頷いてくれました。
　帰り道、駅の階段を下りていく彼女と子供に、ハクはずっと手を振りました。
　二人も、足元に気をつけながら、ずっと振り返してくれて。
　ありがとう、会ってくれて。
　また遊ぼうね。
　口にはしなくても、同じ気持ちなのは間違いなくて。
　久しぶりに、ハクはスッキリした顔で、家へと足を向けたのでした。