その時その時楽しんでいるモノを、無節操に書き連ねています。
日常、ゲーム、手芸以外にも、お人形も普通に登場しております。
大きさ、メーカー、性別も様々、意志を持って話している時もありますから、苦手な方はご遠慮ください。
微温猫庭園というディーラー名で、イベントに参加しています。
写真の無断転載も禁止です。
ハッと思って勢いよく起きあがり、慌てた心のままで見た窓。
カーテン越しとはいえ、明らかにとっぷりと日が暮れてる様子がわかり、八戒は思わず溜息を吐いた。
「また、やっちゃった・・・」
ガリガリと寝癖の着いた頭を掻き、視線を下ろした先には、赤くて小さい子猫ちゃんが、ちょっとお耳をプルプルしながらオネムをしていて。
「悟浄のお昼寝見てると、どうしてこんなに眠くなるんだろう・・・」
初めは、ただ横で寝転んでいただけだった。
幸せイッパイのお顔でオネムしている悟浄を見るのは、八戒にとっては至福の時だ。
ちょっぴり大変だった家事の疲れやお仕事の疲れも、この顔を見るだけで吹き飛んでしまう。
この顔を守る事が出来た疲れなら、なんて幸せな疲れなんだろうと思い、ついついマジマジと見つめてしまい・・・。
見ている間に、八戒自身も眠ってしまう。という事を繰り返しているのだ。
「・・・ん・・・あっかい・・・どした・・・?」
隣にあった温もりが去った事に気づいた悟浄が、ちっちゃいグーをクシクシとおめめに当てながら、ゆっくりと起きあがった。
「ごめんね、悟浄。僕もうっかり寝ちゃって、晩ご飯の時間過ぎちゃいました」
「そうかそうか。おねむはいいもんな。いいおねむだったら、いっぱいねちゃうもんな・・・」
うんうん。と頷いた悟浄は、『晩ご飯』の言葉に敏感に反応したのか、無意識にお腹をナデナデとしてみせる。
「な、何かすぐに作りますね!」
慌ててベッドから降りて、急いでキッチンへ向かう。
が、急いで開いた冷蔵庫を見て、八戒はまた溜息を吐いた。
「スーパー行こうと思ってたんだ・・・」
冷蔵庫のお掃除、なんて事でお昼に野菜タップリの中華丼を作ってしまい、お陰で野菜なんて影も形も見あたらない。
大ピンチという言葉が八戒の脳裏に浮かび上がる。
だって、子猫ちゃんを待たせたりしたくないのだ。
何時だって、お腹が空いたらちゃんとご飯を食べられると、安心して生きて欲しいのだ。
手当たり次第に棚を開けて食材を探している八戒の後ろに、トテトテとやってきた悟浄が、キョトリと首を傾げてみせる。
「はっかい、どした?」
「いえ、ちょっと・・・」
まさか、食材がない。とは言うわけにもいかず。
ちょっぴり途方に暮れかけたその時。
「ん?はっかいのけーたいのおでんわがなってる!」
小さい電子音を聞きつけた悟浄が、素早くお耳を震わせて走り出す。
すぐに持ってきてくれた携帯を受け取った八戒は、着信の名前に縋るように通話ボタンを押した。
「テン兄さん!?」
『はい~、天ちゃんですよ~。今、電話して大丈夫ですか?』
「はい、大丈夫ですよ」
『あのですね、ちょっとおでん作りすぎまして。もし晩ご飯まだだったら、一緒にどうかと思って電話を・・・』
「ええっ、是非窺います!おでん素敵です!寒い冬には素晴らしいです!」
『は、八戒?』
「実は、晩ご飯がピンチでして」
『なるほど』
どうやらそれだけで伝わったらしい天蓬が、向こうでクスクスと笑う声が響く。
『それじゃ、お待ちしてますね~』
「すぐに窺いますよ~」
通話の着れた携帯をジーパンのポケットにねじ込むと、今の会話でおでんを食べに行くと悟ったウキウキ悟浄を抱っこする。
「にーちゃんとこ、いくか?んで、おでんたべちゃうか?」
「はい。おでん食べに行きましょう」
「んふ~、おれ、おでんすき~」
何食べようかと、ピンク色に染まったほっぺに、八戒は思わずちゅーをしてしまったのだった。
慣れたマンションに向かい、玄関に足を踏み入れた瞬間、おでんの良い匂いが二人の鼻に飛び込んできた。
「むふ~v」
「美味しそうな匂いですねぇv」
おじゃましま~すなんて良いながら、勝手に中に入ると、キッチンで二人が揃いのエプロンで忙しなく準備をしてくれている。
「いらっしゃい」
「おそとっ、さむかっただろっ?ふたりともこっちでぬくぬくするといいんだっ!」
続きになっているリビングにあるこたつのふとんを、捲簾はペロンと捲る。
その好意に甘えつつ、すっぽりとコタツに入ると、目の前にはクツクツと煮えているおでん達が身体を揺らしていた。
「・・・なるほど。コレを買ったんですね」
「てんぽっ、これっ、てれびでみたことあるっ!おみせやさんのおでんだ!」
一般家庭でおでんを作る時は、大鍋だったり土鍋だったりするのだが、二人の前にあるのは、家庭用に作られたおでん用の鍋だ。
しっかりと区切られてそれぞれの具材事に入れられるようになっているソレは、見てるだけでも本格的な味がする気がする。
「お店で安く売ってて、見てたら欲しくなっちゃいまして」
「かったら、すぐにつかいたくなったんだよな!」
ソレは確かに。と妙な納得をしながら座っていると、お箸や取り皿、大人用にカラシを揃えた天蓬と捲簾もすっぽりとコタツに入り込む。
「じゃ、早速食べましょうか?」
「いっただきま~す!」
「いっただきま~す!」
声を揃えて挨拶をした子猫ちゃん達は、目をキラキラさせて取り皿を飼い主に手渡す。
「んとんと、おれな、たまごっ!あとはんぺん!」
「おれもっ、おれもたまごっ!あとじゃがいも!」
「はいはい、どれも沢山入ってますからね。お腹いーっぱい食べて下さい」
「あ、牛すじいれてくれてる」
「上手く柔らかくなってくれてると良いんですけど」
大人の会話なんて聞いちゃいない子猫ちゃん達は、目の前に置いてもらったお皿に夢中だ。
熱々の具材をフォークで突き刺し、必死にフーフーして冷ます。
あまりの必死さに、つい隣からもフーフーしちゃう飼い主達だ。
飼い主の協力を得て、やっと冷めてきた卵に、子猫ちゃん達は齧り付いた。
色の変わった白身はしっかりとダシの味がして、ソコに黄身の濃厚な味が混じり合い・・・。
「んま~v」
「んふ~v」
思わず、片方のおててをほっぺに当てちゃう子猫ちゃん達だ。
美味しそうに頬張る姿を見て、飼い主もそれぞれ大根だったり練り物だったりを口に頬張る。
「ん~、良いおダシの味が染み渡ってるv」
「美味しいですねぇv」
口中に広がる幸せの味に、飼い主も顔を綻ばせた。
「まだまだ寒波続きますかねぇ・・・」
「早く春が来ると良いんですけど」
「・・そしたら、皆で桜見に行きましょうか?お弁当持って」
「良いですね!」
暖かくなる頃の幸せな計画を立てつつ、手は子猫ちゃんがおねだりする具材をお皿に入れてやる。
冬だからこそ味わえる、ほのぼのとした時間に、飼い主達も子猫ちゃん達も笑顔が絶える事はなかった。
カーテン越しとはいえ、明らかにとっぷりと日が暮れてる様子がわかり、八戒は思わず溜息を吐いた。
「また、やっちゃった・・・」
ガリガリと寝癖の着いた頭を掻き、視線を下ろした先には、赤くて小さい子猫ちゃんが、ちょっとお耳をプルプルしながらオネムをしていて。
「悟浄のお昼寝見てると、どうしてこんなに眠くなるんだろう・・・」
初めは、ただ横で寝転んでいただけだった。
幸せイッパイのお顔でオネムしている悟浄を見るのは、八戒にとっては至福の時だ。
ちょっぴり大変だった家事の疲れやお仕事の疲れも、この顔を見るだけで吹き飛んでしまう。
この顔を守る事が出来た疲れなら、なんて幸せな疲れなんだろうと思い、ついついマジマジと見つめてしまい・・・。
見ている間に、八戒自身も眠ってしまう。という事を繰り返しているのだ。
「・・・ん・・・あっかい・・・どした・・・?」
隣にあった温もりが去った事に気づいた悟浄が、ちっちゃいグーをクシクシとおめめに当てながら、ゆっくりと起きあがった。
「ごめんね、悟浄。僕もうっかり寝ちゃって、晩ご飯の時間過ぎちゃいました」
「そうかそうか。おねむはいいもんな。いいおねむだったら、いっぱいねちゃうもんな・・・」
うんうん。と頷いた悟浄は、『晩ご飯』の言葉に敏感に反応したのか、無意識にお腹をナデナデとしてみせる。
「な、何かすぐに作りますね!」
慌ててベッドから降りて、急いでキッチンへ向かう。
が、急いで開いた冷蔵庫を見て、八戒はまた溜息を吐いた。
「スーパー行こうと思ってたんだ・・・」
冷蔵庫のお掃除、なんて事でお昼に野菜タップリの中華丼を作ってしまい、お陰で野菜なんて影も形も見あたらない。
大ピンチという言葉が八戒の脳裏に浮かび上がる。
だって、子猫ちゃんを待たせたりしたくないのだ。
何時だって、お腹が空いたらちゃんとご飯を食べられると、安心して生きて欲しいのだ。
手当たり次第に棚を開けて食材を探している八戒の後ろに、トテトテとやってきた悟浄が、キョトリと首を傾げてみせる。
「はっかい、どした?」
「いえ、ちょっと・・・」
まさか、食材がない。とは言うわけにもいかず。
ちょっぴり途方に暮れかけたその時。
「ん?はっかいのけーたいのおでんわがなってる!」
小さい電子音を聞きつけた悟浄が、素早くお耳を震わせて走り出す。
すぐに持ってきてくれた携帯を受け取った八戒は、着信の名前に縋るように通話ボタンを押した。
「テン兄さん!?」
『はい~、天ちゃんですよ~。今、電話して大丈夫ですか?』
「はい、大丈夫ですよ」
『あのですね、ちょっとおでん作りすぎまして。もし晩ご飯まだだったら、一緒にどうかと思って電話を・・・』
「ええっ、是非窺います!おでん素敵です!寒い冬には素晴らしいです!」
『は、八戒?』
「実は、晩ご飯がピンチでして」
『なるほど』
どうやらそれだけで伝わったらしい天蓬が、向こうでクスクスと笑う声が響く。
『それじゃ、お待ちしてますね~』
「すぐに窺いますよ~」
通話の着れた携帯をジーパンのポケットにねじ込むと、今の会話でおでんを食べに行くと悟ったウキウキ悟浄を抱っこする。
「にーちゃんとこ、いくか?んで、おでんたべちゃうか?」
「はい。おでん食べに行きましょう」
「んふ~、おれ、おでんすき~」
何食べようかと、ピンク色に染まったほっぺに、八戒は思わずちゅーをしてしまったのだった。
慣れたマンションに向かい、玄関に足を踏み入れた瞬間、おでんの良い匂いが二人の鼻に飛び込んできた。
「むふ~v」
「美味しそうな匂いですねぇv」
おじゃましま~すなんて良いながら、勝手に中に入ると、キッチンで二人が揃いのエプロンで忙しなく準備をしてくれている。
「いらっしゃい」
「おそとっ、さむかっただろっ?ふたりともこっちでぬくぬくするといいんだっ!」
続きになっているリビングにあるこたつのふとんを、捲簾はペロンと捲る。
その好意に甘えつつ、すっぽりとコタツに入ると、目の前にはクツクツと煮えているおでん達が身体を揺らしていた。
「・・・なるほど。コレを買ったんですね」
「てんぽっ、これっ、てれびでみたことあるっ!おみせやさんのおでんだ!」
一般家庭でおでんを作る時は、大鍋だったり土鍋だったりするのだが、二人の前にあるのは、家庭用に作られたおでん用の鍋だ。
しっかりと区切られてそれぞれの具材事に入れられるようになっているソレは、見てるだけでも本格的な味がする気がする。
「お店で安く売ってて、見てたら欲しくなっちゃいまして」
「かったら、すぐにつかいたくなったんだよな!」
ソレは確かに。と妙な納得をしながら座っていると、お箸や取り皿、大人用にカラシを揃えた天蓬と捲簾もすっぽりとコタツに入り込む。
「じゃ、早速食べましょうか?」
「いっただきま~す!」
「いっただきま~す!」
声を揃えて挨拶をした子猫ちゃん達は、目をキラキラさせて取り皿を飼い主に手渡す。
「んとんと、おれな、たまごっ!あとはんぺん!」
「おれもっ、おれもたまごっ!あとじゃがいも!」
「はいはい、どれも沢山入ってますからね。お腹いーっぱい食べて下さい」
「あ、牛すじいれてくれてる」
「上手く柔らかくなってくれてると良いんですけど」
大人の会話なんて聞いちゃいない子猫ちゃん達は、目の前に置いてもらったお皿に夢中だ。
熱々の具材をフォークで突き刺し、必死にフーフーして冷ます。
あまりの必死さに、つい隣からもフーフーしちゃう飼い主達だ。
飼い主の協力を得て、やっと冷めてきた卵に、子猫ちゃん達は齧り付いた。
色の変わった白身はしっかりとダシの味がして、ソコに黄身の濃厚な味が混じり合い・・・。
「んま~v」
「んふ~v」
思わず、片方のおててをほっぺに当てちゃう子猫ちゃん達だ。
美味しそうに頬張る姿を見て、飼い主もそれぞれ大根だったり練り物だったりを口に頬張る。
「ん~、良いおダシの味が染み渡ってるv」
「美味しいですねぇv」
口中に広がる幸せの味に、飼い主も顔を綻ばせた。
「まだまだ寒波続きますかねぇ・・・」
「早く春が来ると良いんですけど」
「・・そしたら、皆で桜見に行きましょうか?お弁当持って」
「良いですね!」
暖かくなる頃の幸せな計画を立てつつ、手は子猫ちゃんがおねだりする具材をお皿に入れてやる。
冬だからこそ味わえる、ほのぼのとした時間に、飼い主達も子猫ちゃん達も笑顔が絶える事はなかった。
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