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その時その時楽しんでいるモノを、無節操に書き連ねています。 日常、ゲーム、手芸以外にも、お人形も普通に登場しております。 大きさ、メーカー、性別も様々、意志を持って話している時もありますから、苦手な方はご遠慮ください。 微温猫庭園というディーラー名で、イベントに参加しています。 写真の無断転載も禁止です。
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 さほど広いわけではないが、八戒の家にはちゃんとした庭がある。
 元よりマメな青年だが、小さくて愛しい存在と共に過ごすようになってから、ますますマメさが増し、庭はちょっとした庭園のようだった。
 季節ごとに咲き乱れる花々や、色を変える木々の葉は、大人だけではなく子猫ちゃんたちも楽しませる。
「うにゃー!」
「うにゃにゃー!」
 庭を走り回る子猫ちゃんたちのはしゃぐ声は、室内に居る飼い主にも勿論届いた。
「楽しそうですねぇ」
 淹れてもらった珈琲を口に運びながら庭に目をやる天蓬は、おそらく自分では気付いてないだろうと思われるぐらい微笑んでいて。
そんな従兄弟の顔を見られる事が出来た八戒も、表情は常にないほど柔和だ。
「寒くてもヘッチャラですもんね」
「子猫ちゃんは元気が一番ですv」
「確かに」
 そんな会話がされてるなんて全く知る事もない子猫ちゃんたちは、木から舞い落ちる葉を掴まえようと必死だった。
「まて!まて!」
「こっち!こっち!」
 プクプクホッペを真っ赤にさせて、小さいおててを一生懸命に空へ向ける。
 子猫ちゃんたちにとって、ただ落ちる葉でさえ自然が提供してくれた遊びの一つなのだ。
「そろそろお家に入らなきゃダメですよ」
 さすがに身体を気にした八戒が声を掛けると、子猫ちゃんたちはうにゃうにゃ言いながら駆け寄ってくる。
「あのな、あのな、おれいーっぱいとれた!」
 捲簾の両手イッパイに掴まれたのは、綺麗に色付いた葉っぱたち。
「凄いですねぇ」
 飼い猫の成果に天蓬が目を細める。
「悟浄はどうでした?」
 子猫ちゃんたちが脱いだ、フード付きのコートを受け取りながら八戒が問うと、赤いお耳がヘニョンと下を向いた。
「…おれ、ぜんぜんとれなかった」
「…そういう時もありますから、明日また頑張ってみましょうね」
「…うん」
「ごじょうなっ、とってもおしかったんだ!もうちょっとだったんだ!」
 弟の努力を必死に力説する捲簾に、飼い主二人が微笑んだ時。
「あれ?」
 コートを手にしていた八戒が上げた声に、三人の視線が集まる。
「おれ、おようふくよごしたか?」
「そんな事じゃないですよ。…悟浄、ちゃんと葉っぱ取れてるじゃないですか」
「え?」
「ほら、ココに」
 笑顔の八戒が開いて見せたのは、小さいコートに付いている小さいフードの中。
 三人が覗きこんだ視線の先にあるのは…。
「はっぱだー!」
「悟浄、フードで葉っぱとってたんですね!」
「すごいぞ!」
 八戒が取り出した葉を受け取った悟浄は、お耳をピルピル振り喜びを表す。
「あしたはおててでとる!」
「きっと取れますよ」
「がんばろうな!」
「うん!」
 決意新たにする悟浄の頭に伸びた三人の手は、赤い髪がグチャグチャになるほど撫で続けたのだった。
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プロフィール
HN:
ハクナオヤ
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性別:
女性
職業:
旅人(食いしん坊グラファー)
趣味:
色々適当に
自己紹介:
ひたすら切り絵を練習中。編み物なんかもやってます。
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