その時その時楽しんでいるモノを、無節操に書き連ねています。
日常、ゲーム、手芸以外にも、お人形も普通に登場しております。
大きさ、メーカー、性別も様々、意志を持って話している時もありますから、苦手な方はご遠慮ください。
微温猫庭園というディーラー名で、イベントに参加しています。
写真の無断転載も禁止です。
八戒の家では、いつも悟浄のために冷蔵庫に小さなお皿を入れてある。
それは、子供だからこそ楽しめる「摘み食い」用のお皿なのだ。
ちっちゃな笹カマボコを1、2枚とか、チーズを二欠片。とか。
そんな一口二口で食べられるモノをそっと乗せておき、悟浄が内緒でモグモグするのを八戒は楽しむのだ。
その話を聞いた天蓬は、さっそく自分の家でも実行してみた。
可愛い可愛い捲簾が、こっそりとモグモグしてる姿はそりゃもう可愛いだろうと思い、ムフムフと丸いカマボコを3、4つ乗せておいたのだ。
それは、知り合いが旅行先から送ってくれたカマボコで、ピンポン球ぐらいのカマボコの中に、子猫ちゃん垂涎のツナやチーズ、マヨネーズなんかが具として入ってる素敵な品で。
もらった瞬間、「捲簾にモグモグさせてあげなければ!」と天蓬は思ったのだった。
「さぁて、捲簾はモグモグしちゃってくれましたかね?」
うふふv と冷蔵庫を開けてお皿を取り出した天蓬は、そのまますぐに首を傾けた。
「あれ?」
皿を手に取ったまま冷蔵庫を閉め、やっぱり首を傾ける。
捲簾は、とってもとってもお行儀のいい子猫ちゃんだ。
天蓬の言う事や八戒の言う事もちゃんと守るし、弟の悟浄の面倒もちゃんと出来る。
だけど、時々天蓬にだけは甘ったれちゃんという、そりゃもう可愛い子猫ちゃんなのだが・・・。
「あれぇ?」
天蓬の持っているお皿の上には、ちょっとだけ囓られたカマボコ達が乗っかっているのだ。
囓っている。という事は、コレが食べるモノだと知ったワケだし、尚かつ具がチラリと見えているから、自分が大好きな味だと分かっているハズだ。
なのに、残している。
そもそも、元野良の捲簾は、「食べられる事」がどれほど幸せで贅沢な事かちゃんと知っている。
多少の好き嫌いはあるけれども、出されたモノは全部残さず食べる子猫ちゃんなのだ。
ソレを、こうして一口ずつ食べ散らかす。というのはあまり考えられない。
「捲簾?」
名前を呼んで、子猫ちゃんを捜すと、居間のソファの上で寝そべりクッションまみれでご満悦になっている。
「てんぽっ、どした!?あそぶかっ!?」
自分が遊んで欲しいんだろう?と突っ込みたい所をぐっと堪えて、天蓬は持っていた皿を捲簾に差し出して見せた。
「コレ、どうして残しちゃったんですか?美味しくなかった?」
問うと、ソファにチョコリとお座りしなおした捲簾は、プクプクほっぺをピンク色に染めて、ほわぁと目を細めた。
「それなぁ~、とーってもんまかった~v」
味を思い出したのか、幸せそうにちっちゃい両手を頬に当てる。
「それじゃ、どうして残してるんです?」
「あのな、それな、とーってもんまいだろ?だからな、ごじょうにあげるんだ!あそびにいったときおみやげにするんだ!」
「捲簾・・・」
「きっとな、ごじょうもよろこぶぞ~。『にいちゃん、とーってもんまいな!』っていうとおもうんだ!」
小さい子猫ちゃんは、野良の時、一人だった。
でも、今は違う。家族が増えた。
天蓬に拾われ、天蓬の従兄弟の八戒と知り合い、その飼い猫の悟浄とも知り合った。
自分よりも小さな悟浄。野良の時、沢山沢山人間や同じ猫にいじめられて、やっと飼い猫になった時もまだちょっとビクビクしてた悟浄。
そんな悟浄を、捲簾は『まもってやらなきゃ!だいじにしてあげなきゃ!』と思い、ソレを実行しているのだ。
天蓬は、改めて手に持っていた皿を見る。
おそらく、最初の一個を囓った瞬間、『ごじょうにもあげなきゃ!』と思ったのだろう。
それ以外のカマボコは全て、小さく小さく囓り取られているだけになっている。
「・・・捲簾、コレ、あんまり囓ってないでしょ?」
「だってっ、おれがいっぱいかじったら、ごじょうのぶんがなくなっちゃうだろ?おれな、ごじょうのおくちをこれでいーっぱいにしてやりてぇんだ!」
あまりにも天蓬の予想通りの答えが返ってきて、つい、らしくもなく涙がにじみそうになった。
この小さい子猫ちゃんは、誰に教わったワケでもないのに、自分より小さいモノに沢山与えようとするのだ。
自分は大きいから我慢できる。もっと小さい悟浄にこそ、沢山上げなくちゃいけない。
その優しい優しい思いが、この小さく囓られたカマボコに現れている。
「てんぽ?」
隣に座り、キョトリとしている捲簾を片手で抱え上げ、膝の上にチョコンと乗せる。
お皿のラップを外して、囓られた一つを摘み上げると、捲簾のお口へと運んだ。
「コレね、八戒と悟浄にも、頂いた袋ごと渡せるようにとっておいてありますよ。だから安心して、捲簾はコレを食べて良いんです」
「そうなのか?」
「えぇ、そうです。これは全部捲簾のモノです」
「ほわぁ~、そっかぁ~v」
安心安心と、小さなお口がカマボコへ齧り付く。
「んふ~、これとーってもとーってもんまいなぁv」
「捲簾がこれほど喜んでると、くれた人もとっても嬉しいと思いますよ?」
「ありがと!っていっておいてくれるか?」
「勿論ですよ~」
モグモグと頬を動かす捲簾に、天蓬はヒョイヒョイとカマボコをお口に運ぶ。
内緒の摘み食いにはならなかったけれど、コレはコレで幸せなモグモグタイムだ。
天蓬の指にちょっと付いちゃったマヨネーズを、ちゅっちゅして舐めている捲簾は、小さいのに心優しく懐深い子猫ちゃんだ。
「神様は、本当に凄い宝物を僕にくれたんだなぁ・・・」
信心深くもなければ、神も信じているワケじゃないけれど。
こうして奇跡のような存在の心に触れるたびに、何かに感謝してしまう天蓬だ。
「あとで、ごじょーのおうち、いこうな?」
「お土産持って、あ、他にもアイスでも買って行きましょうか?」
「うん!」
ニコッと花が咲いたように笑う捲簾を、天蓬はギュッと抱き締め直したのだった。
それは、子供だからこそ楽しめる「摘み食い」用のお皿なのだ。
ちっちゃな笹カマボコを1、2枚とか、チーズを二欠片。とか。
そんな一口二口で食べられるモノをそっと乗せておき、悟浄が内緒でモグモグするのを八戒は楽しむのだ。
その話を聞いた天蓬は、さっそく自分の家でも実行してみた。
可愛い可愛い捲簾が、こっそりとモグモグしてる姿はそりゃもう可愛いだろうと思い、ムフムフと丸いカマボコを3、4つ乗せておいたのだ。
それは、知り合いが旅行先から送ってくれたカマボコで、ピンポン球ぐらいのカマボコの中に、子猫ちゃん垂涎のツナやチーズ、マヨネーズなんかが具として入ってる素敵な品で。
もらった瞬間、「捲簾にモグモグさせてあげなければ!」と天蓬は思ったのだった。
「さぁて、捲簾はモグモグしちゃってくれましたかね?」
うふふv と冷蔵庫を開けてお皿を取り出した天蓬は、そのまますぐに首を傾けた。
「あれ?」
皿を手に取ったまま冷蔵庫を閉め、やっぱり首を傾ける。
捲簾は、とってもとってもお行儀のいい子猫ちゃんだ。
天蓬の言う事や八戒の言う事もちゃんと守るし、弟の悟浄の面倒もちゃんと出来る。
だけど、時々天蓬にだけは甘ったれちゃんという、そりゃもう可愛い子猫ちゃんなのだが・・・。
「あれぇ?」
天蓬の持っているお皿の上には、ちょっとだけ囓られたカマボコ達が乗っかっているのだ。
囓っている。という事は、コレが食べるモノだと知ったワケだし、尚かつ具がチラリと見えているから、自分が大好きな味だと分かっているハズだ。
なのに、残している。
そもそも、元野良の捲簾は、「食べられる事」がどれほど幸せで贅沢な事かちゃんと知っている。
多少の好き嫌いはあるけれども、出されたモノは全部残さず食べる子猫ちゃんなのだ。
ソレを、こうして一口ずつ食べ散らかす。というのはあまり考えられない。
「捲簾?」
名前を呼んで、子猫ちゃんを捜すと、居間のソファの上で寝そべりクッションまみれでご満悦になっている。
「てんぽっ、どした!?あそぶかっ!?」
自分が遊んで欲しいんだろう?と突っ込みたい所をぐっと堪えて、天蓬は持っていた皿を捲簾に差し出して見せた。
「コレ、どうして残しちゃったんですか?美味しくなかった?」
問うと、ソファにチョコリとお座りしなおした捲簾は、プクプクほっぺをピンク色に染めて、ほわぁと目を細めた。
「それなぁ~、とーってもんまかった~v」
味を思い出したのか、幸せそうにちっちゃい両手を頬に当てる。
「それじゃ、どうして残してるんです?」
「あのな、それな、とーってもんまいだろ?だからな、ごじょうにあげるんだ!あそびにいったときおみやげにするんだ!」
「捲簾・・・」
「きっとな、ごじょうもよろこぶぞ~。『にいちゃん、とーってもんまいな!』っていうとおもうんだ!」
小さい子猫ちゃんは、野良の時、一人だった。
でも、今は違う。家族が増えた。
天蓬に拾われ、天蓬の従兄弟の八戒と知り合い、その飼い猫の悟浄とも知り合った。
自分よりも小さな悟浄。野良の時、沢山沢山人間や同じ猫にいじめられて、やっと飼い猫になった時もまだちょっとビクビクしてた悟浄。
そんな悟浄を、捲簾は『まもってやらなきゃ!だいじにしてあげなきゃ!』と思い、ソレを実行しているのだ。
天蓬は、改めて手に持っていた皿を見る。
おそらく、最初の一個を囓った瞬間、『ごじょうにもあげなきゃ!』と思ったのだろう。
それ以外のカマボコは全て、小さく小さく囓り取られているだけになっている。
「・・・捲簾、コレ、あんまり囓ってないでしょ?」
「だってっ、おれがいっぱいかじったら、ごじょうのぶんがなくなっちゃうだろ?おれな、ごじょうのおくちをこれでいーっぱいにしてやりてぇんだ!」
あまりにも天蓬の予想通りの答えが返ってきて、つい、らしくもなく涙がにじみそうになった。
この小さい子猫ちゃんは、誰に教わったワケでもないのに、自分より小さいモノに沢山与えようとするのだ。
自分は大きいから我慢できる。もっと小さい悟浄にこそ、沢山上げなくちゃいけない。
その優しい優しい思いが、この小さく囓られたカマボコに現れている。
「てんぽ?」
隣に座り、キョトリとしている捲簾を片手で抱え上げ、膝の上にチョコンと乗せる。
お皿のラップを外して、囓られた一つを摘み上げると、捲簾のお口へと運んだ。
「コレね、八戒と悟浄にも、頂いた袋ごと渡せるようにとっておいてありますよ。だから安心して、捲簾はコレを食べて良いんです」
「そうなのか?」
「えぇ、そうです。これは全部捲簾のモノです」
「ほわぁ~、そっかぁ~v」
安心安心と、小さなお口がカマボコへ齧り付く。
「んふ~、これとーってもとーってもんまいなぁv」
「捲簾がこれほど喜んでると、くれた人もとっても嬉しいと思いますよ?」
「ありがと!っていっておいてくれるか?」
「勿論ですよ~」
モグモグと頬を動かす捲簾に、天蓬はヒョイヒョイとカマボコをお口に運ぶ。
内緒の摘み食いにはならなかったけれど、コレはコレで幸せなモグモグタイムだ。
天蓬の指にちょっと付いちゃったマヨネーズを、ちゅっちゅして舐めている捲簾は、小さいのに心優しく懐深い子猫ちゃんだ。
「神様は、本当に凄い宝物を僕にくれたんだなぁ・・・」
信心深くもなければ、神も信じているワケじゃないけれど。
こうして奇跡のような存在の心に触れるたびに、何かに感謝してしまう天蓬だ。
「あとで、ごじょーのおうち、いこうな?」
「お土産持って、あ、他にもアイスでも買って行きましょうか?」
「うん!」
ニコッと花が咲いたように笑う捲簾を、天蓬はギュッと抱き締め直したのだった。
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ふわぁ・・・。
いっぱいおねむした~v
おやつのほっとけーきいーっぱいたべて、おなかぽんぽこりんになっちって、そしたらおねむしたくなったんだ、うん。
いいおねむだった~v
おめめぐりぐりしてとなりをみたら、はっかいがまだおねむしてた。
おれといっしょにおねむしてくれたんだぁ~v
んふ~、しわわせだ。いっしょのおねむはとってもとってもしわわせだ~。
でも、はっかいがおねむしてると、やることない。
どうしよっかなぁ・・・・。
ひとりであそんでもいいけど、はっかいのちかくにいたいし・・・。
あ、そうだ!!
ふんふんしよう!!
はっかいのいーにおい、いーっぱいふんふんしようっとv
ふんふん、ふんふん。
おててやおなかやかたのところから、ほっとけーきのにおいがする。
でもでも、はっかいのにおいもする。いーにおいだ。
・・・・おれのにおいきえてる。つけとかなきゃ。
はっかいがおれのだってしるしつけとかなきゃ。
まずはおなかからだ!!
あたまくっつけてー、ぐいーってするんだ!!
おみみのうらっかわをぐいーぐいーっておしつけるんだ!!
あれ、でもなんでおみみのうらっかわくっつけたくなるんだ?
・・・・ふしぎだ。
はっ、ふしぎがってるばあいじゃないんだ。においつけなきゃ。
んしょ、んしょ。
おなかだろ~、おててだろ~、あしにもつけなきゃな、うん!
おれの~、おれの~。
よし、だいぶおれのにおいになったな!
おれのしらないところで、はっかいにねこがちかづいてもだいじょうぶだ。
おれのにおいがするから、ちゃーんとわかるv
あんしん、あんしんv
「悟浄・・・?」
あ、はっかいおきちゃった!
「何してるんですか?」
かるくうでをぐるぐるしながら、はっかいがむくっておきた。
「んとな、においつけてた」
「あぁ、だからくすぐったかったんだ」
はっかいは、くすくすわらって、おれのあたまなでなでしてくれた。
「ちゃんと悟浄の匂い付きました?」
「うん!ついた!おれのだ!」
「それは良かった」
たちあがったはっかいは、おれをだっこしてまどにちかづいた。
そとをのぞいたら、さっきまであめふってたけど、いまはふってないや。
「お買い物行けそうですね」
「うんv」
「美味しいモノ、沢山買いましょうね」
「うんv」
おそといくんだ。やっぱりにおいつけといてよかったな。
はっかいは、おれのだいじなかいぬしなんだもん。
ほかのねこにとられたくねぇんだもん。
これからも、いーっぱいいーっぱいつけとこうっとv
いっぱいおねむした~v
おやつのほっとけーきいーっぱいたべて、おなかぽんぽこりんになっちって、そしたらおねむしたくなったんだ、うん。
いいおねむだった~v
おめめぐりぐりしてとなりをみたら、はっかいがまだおねむしてた。
おれといっしょにおねむしてくれたんだぁ~v
んふ~、しわわせだ。いっしょのおねむはとってもとってもしわわせだ~。
でも、はっかいがおねむしてると、やることない。
どうしよっかなぁ・・・・。
ひとりであそんでもいいけど、はっかいのちかくにいたいし・・・。
あ、そうだ!!
ふんふんしよう!!
はっかいのいーにおい、いーっぱいふんふんしようっとv
ふんふん、ふんふん。
おててやおなかやかたのところから、ほっとけーきのにおいがする。
でもでも、はっかいのにおいもする。いーにおいだ。
・・・・おれのにおいきえてる。つけとかなきゃ。
はっかいがおれのだってしるしつけとかなきゃ。
まずはおなかからだ!!
あたまくっつけてー、ぐいーってするんだ!!
おみみのうらっかわをぐいーぐいーっておしつけるんだ!!
あれ、でもなんでおみみのうらっかわくっつけたくなるんだ?
・・・・ふしぎだ。
はっ、ふしぎがってるばあいじゃないんだ。においつけなきゃ。
んしょ、んしょ。
おなかだろ~、おててだろ~、あしにもつけなきゃな、うん!
おれの~、おれの~。
よし、だいぶおれのにおいになったな!
おれのしらないところで、はっかいにねこがちかづいてもだいじょうぶだ。
おれのにおいがするから、ちゃーんとわかるv
あんしん、あんしんv
「悟浄・・・?」
あ、はっかいおきちゃった!
「何してるんですか?」
かるくうでをぐるぐるしながら、はっかいがむくっておきた。
「んとな、においつけてた」
「あぁ、だからくすぐったかったんだ」
はっかいは、くすくすわらって、おれのあたまなでなでしてくれた。
「ちゃんと悟浄の匂い付きました?」
「うん!ついた!おれのだ!」
「それは良かった」
たちあがったはっかいは、おれをだっこしてまどにちかづいた。
そとをのぞいたら、さっきまであめふってたけど、いまはふってないや。
「お買い物行けそうですね」
「うんv」
「美味しいモノ、沢山買いましょうね」
「うんv」
おそといくんだ。やっぱりにおいつけといてよかったな。
はっかいは、おれのだいじなかいぬしなんだもん。
ほかのねこにとられたくねぇんだもん。
これからも、いーっぱいいーっぱいつけとこうっとv
「悟浄、眠れないんですか?」
腕の中で、何時までもモジモジと動く悟浄に声をかけると、暗い中大きなおめめがパッチリ開きます。
「ん~、どうしてだろ・・・?あんまりオネムがこねぇんだ」
「そういう時もありますよ」
「ん~」
でも、このままじゃダメですよねぇ・・・、あ、そうだ。
「羊を数えましょうか?」
「しつじ?あの、しろくってもこもこしてるやつか?」
「えぇ。眠れない時は、羊を数えると眠りやすくなるんですよ」
「そっか~・・・、あ、はっかいがかぞえてくれるか?」
悟浄は、まだ50を越えて数えられませんもんね。
「良いですよ。おめめを閉じて、羊が柵を飛び越えて行くのを想像するんですよ~?」
「は~い」
「それじゃ、羊が一匹~、羊が二匹~」
「うんうん、うんうん」
「・・・羊が三匹~、羊が四匹~」
「うんうん、うんうん」
「悟浄、頷いてたらオネム出来ませんよ?」
「だって、ちゃんととびこえたからあんしんするんだ」
「そ、そうですか・・・」
ま、まぁ、そのうち疲れちゃうでしょうし、気にしなくても良いか・・・。
「──羊が二十九匹、羊が三十匹・・・」
「はっかい、すとっぷだ!」
今まで閉じていたおめめがパッチリと開いちゃいました。
「どうしました?」
「それいじょうはだめだ!」
「どうして?」
「あたまのなかが、しつじでいっぱいになった!もうはいんない!!」
「ブッ!!」
こ、これは笑っても仕方ないと思うんです。僕は悪くないです。悪いのは可愛すぎる悟浄です。
「も、もう入りませんか・・・」
「いっぱいだっ!もこもこがいっぱいになってっ、ちょっとあつくるしいっ!!」
「ブハッ!」
降参です。悟浄に降参です。
肩を震わす僕を気にせず、悟浄は困ったお顔をして見せました。
「ん~、おねむできねぇ~」
いつもはすぐにオネムしちゃうのに、どうしたんでしょうかね・・・って、もしかしたら・・・。
「悟浄、お腹空いてるんじゃないんですか?」
「えっ!?」
「お腹空いてると、オネム出来なかったりしますよ?・・・なにかお夜食でも食べましょうか?」
「おやしょくv」
おめめがキラキラしてきました。自分でお腹が空いてる事に気づいてなかったんですね。
「キッチン行きましょうね?」
「いく~」
起きあがって悟浄を抱っこして、キッチンへ。
え~っと、何があったかな・・・。うどん・・・はストックがないから、ラーメンかな・・・・。
袋入りの味噌ラーメンに、もやしちょっと乗せて・・・、あ、卵も入れて、ついでだから冷凍しておいた肉団子なんかも入れちゃって良いかな・・・。
悟浄専用の椅子に座らせて、ちゃちゃっと手を動かしてると、
「あのな、はっかい。おれな、ひとっつのおわんにはいってるのを、ふたりでちゅるちゅるしたいんだv」
なんですかその可愛いお強請りは。
幾らでもチュルチュルしてあげますよっ、えぇ!!
出来上がった味噌ラーメンを一つの丼に入れて、悟浄のお願いどうり二人でチュルチュルです。
「んは~v おいしそ~v」
「じゃ、食べましょうか?」
「いったらっきまぁすv」
「いただきますv」
僕がお箸で悟浄がフォーク(この姿がまた可愛いんですv)で、麺を啜ります。
悟浄ったら、麺を最後までちゅるんって食べるから、麺が弾いたスープがおでこに飛んじゃってますよ。
可愛いったらないですねぇ。
あ、悟浄と僕が口に入れた麺、繋がってました。
「んふ~v んふ~v」
お行儀悪いんでしょうけど、繋がった麺を悟浄はツンツンして嬉しそうです。
僕がそのままにしてたら、悟浄ったら啜りながら顔を近づかせてお口にちゅっちゅしてきました。
「んまい~v」
「そうですねぇ~v」
第三者が見たら、バカップル以外のナニモノでもないと思うんですけど、誰も見てないから全然平気です。
いえ、見られてても平気ですけどね。
「おやしょくも、んまいな~v」
「良かったですね」
「しわわせ~v」
「僕もですv」
二人で交互にスープも飲んで、簡単に後片付けして、歯磨きです。
悟浄はもう一度歯磨きするのがイヤそうでしたけど、渋々歯磨きして、再び寝室へ戻りました。
「んふ~、おなかがいっぱいだv」
ベッドにコロンとするなり、悟浄は満足そうです。
このままオネムできればいいんですけど・・・って、もう眠そうですね、悟浄。
おててで、目をゴシゴシしちゃってますよ。
「はっか・・・い。はやく、ぎゅー・・・」
「はいはい」
慌てて横になり、悟浄を脇にキュッと押し込みます。
ちょっと膨らんだお腹をナデナデしていると・・・、寝ちゃった。
やっぱりお腹が空いてたんですねぇ・・・。
何気ない日常なんですよね、こういうの。
お腹が空きすぎて眠れないから夜食を食べた。ってだけの。
でも、悟浄と一緒だと、幸せで満ち足りています。
悟浄って凄いなぁ、ホント。
ふわぁ・・・。悟浄見てると、僕も眠くなりました。
夜食を食べたから、明日はちょっと遅めの朝ご飯で良いだろうし・・・。
沢山オネムしましょうね、悟浄v
腕の中で、何時までもモジモジと動く悟浄に声をかけると、暗い中大きなおめめがパッチリ開きます。
「ん~、どうしてだろ・・・?あんまりオネムがこねぇんだ」
「そういう時もありますよ」
「ん~」
でも、このままじゃダメですよねぇ・・・、あ、そうだ。
「羊を数えましょうか?」
「しつじ?あの、しろくってもこもこしてるやつか?」
「えぇ。眠れない時は、羊を数えると眠りやすくなるんですよ」
「そっか~・・・、あ、はっかいがかぞえてくれるか?」
悟浄は、まだ50を越えて数えられませんもんね。
「良いですよ。おめめを閉じて、羊が柵を飛び越えて行くのを想像するんですよ~?」
「は~い」
「それじゃ、羊が一匹~、羊が二匹~」
「うんうん、うんうん」
「・・・羊が三匹~、羊が四匹~」
「うんうん、うんうん」
「悟浄、頷いてたらオネム出来ませんよ?」
「だって、ちゃんととびこえたからあんしんするんだ」
「そ、そうですか・・・」
ま、まぁ、そのうち疲れちゃうでしょうし、気にしなくても良いか・・・。
「──羊が二十九匹、羊が三十匹・・・」
「はっかい、すとっぷだ!」
今まで閉じていたおめめがパッチリと開いちゃいました。
「どうしました?」
「それいじょうはだめだ!」
「どうして?」
「あたまのなかが、しつじでいっぱいになった!もうはいんない!!」
「ブッ!!」
こ、これは笑っても仕方ないと思うんです。僕は悪くないです。悪いのは可愛すぎる悟浄です。
「も、もう入りませんか・・・」
「いっぱいだっ!もこもこがいっぱいになってっ、ちょっとあつくるしいっ!!」
「ブハッ!」
降参です。悟浄に降参です。
肩を震わす僕を気にせず、悟浄は困ったお顔をして見せました。
「ん~、おねむできねぇ~」
いつもはすぐにオネムしちゃうのに、どうしたんでしょうかね・・・って、もしかしたら・・・。
「悟浄、お腹空いてるんじゃないんですか?」
「えっ!?」
「お腹空いてると、オネム出来なかったりしますよ?・・・なにかお夜食でも食べましょうか?」
「おやしょくv」
おめめがキラキラしてきました。自分でお腹が空いてる事に気づいてなかったんですね。
「キッチン行きましょうね?」
「いく~」
起きあがって悟浄を抱っこして、キッチンへ。
え~っと、何があったかな・・・。うどん・・・はストックがないから、ラーメンかな・・・・。
袋入りの味噌ラーメンに、もやしちょっと乗せて・・・、あ、卵も入れて、ついでだから冷凍しておいた肉団子なんかも入れちゃって良いかな・・・。
悟浄専用の椅子に座らせて、ちゃちゃっと手を動かしてると、
「あのな、はっかい。おれな、ひとっつのおわんにはいってるのを、ふたりでちゅるちゅるしたいんだv」
なんですかその可愛いお強請りは。
幾らでもチュルチュルしてあげますよっ、えぇ!!
出来上がった味噌ラーメンを一つの丼に入れて、悟浄のお願いどうり二人でチュルチュルです。
「んは~v おいしそ~v」
「じゃ、食べましょうか?」
「いったらっきまぁすv」
「いただきますv」
僕がお箸で悟浄がフォーク(この姿がまた可愛いんですv)で、麺を啜ります。
悟浄ったら、麺を最後までちゅるんって食べるから、麺が弾いたスープがおでこに飛んじゃってますよ。
可愛いったらないですねぇ。
あ、悟浄と僕が口に入れた麺、繋がってました。
「んふ~v んふ~v」
お行儀悪いんでしょうけど、繋がった麺を悟浄はツンツンして嬉しそうです。
僕がそのままにしてたら、悟浄ったら啜りながら顔を近づかせてお口にちゅっちゅしてきました。
「んまい~v」
「そうですねぇ~v」
第三者が見たら、バカップル以外のナニモノでもないと思うんですけど、誰も見てないから全然平気です。
いえ、見られてても平気ですけどね。
「おやしょくも、んまいな~v」
「良かったですね」
「しわわせ~v」
「僕もですv」
二人で交互にスープも飲んで、簡単に後片付けして、歯磨きです。
悟浄はもう一度歯磨きするのがイヤそうでしたけど、渋々歯磨きして、再び寝室へ戻りました。
「んふ~、おなかがいっぱいだv」
ベッドにコロンとするなり、悟浄は満足そうです。
このままオネムできればいいんですけど・・・って、もう眠そうですね、悟浄。
おててで、目をゴシゴシしちゃってますよ。
「はっか・・・い。はやく、ぎゅー・・・」
「はいはい」
慌てて横になり、悟浄を脇にキュッと押し込みます。
ちょっと膨らんだお腹をナデナデしていると・・・、寝ちゃった。
やっぱりお腹が空いてたんですねぇ・・・。
何気ない日常なんですよね、こういうの。
お腹が空きすぎて眠れないから夜食を食べた。ってだけの。
でも、悟浄と一緒だと、幸せで満ち足りています。
悟浄って凄いなぁ、ホント。
ふわぁ・・・。悟浄見てると、僕も眠くなりました。
夜食を食べたから、明日はちょっと遅めの朝ご飯で良いだろうし・・・。
沢山オネムしましょうね、悟浄v
今、この瞬間まで寝ていたとは思えない速度で、八戒は瞼を持ち上げた。
今だ暗い部屋の中。
時間はまだ深夜という頃。
しかし、そんな事に拘る余裕がない八戒は、慌てて隣に手を伸ばした。
いつもソコでクゥクゥ眠っている悟浄。
その温もりを探す為だ。
けれど、八戒の手が触れたのは、タダのサラリとしたシーツだけ。
「悟浄・・・?」
上半身を起こし辺りを見渡すが、求めている姿はない。
「悟浄・・・っ!?」
ベッドから下りた八戒は、慌てて部屋を飛び出して、明かりの点いている方向へと走り出した。
「ふんふんふ~~んv」
小さな個室で、悟浄は鼻歌交じりに生理的欲求を解消中だった。
オネムの前に飲んだピルクルを、現在放出中なのだ。
「おかわりしちゃったもんなぁ~v」
やはり、鼻歌交じりの悟浄の背後で、扉は思い切り開けられた。
「悟浄っ!!!」
「うにゃっ!!」
あまりの吃驚に、尻尾も膨らみピーンと立ってしまうのだが・・・。
ちっこは、途中で止まらないのだ。
「なっ、なんだっ!?どうしたんだっ!?」
「悟浄っ、ココにいた・・・っ!!」
「ちっ、ちっこだからっ、おといれにいるんだっ!」
「そうですね、ちっこですね」
納得した感じではあるが、その場から動こうとしない八戒に、悟浄は慌ててちっこを終了させる。
パンツとズボンをちゃんと上げて、お水を流して。
八戒に見つめられながら、洗面所で悟浄用の足場に乗って、おてても洗って。
「おしまいv」
「良くできましたv」
褒めてナデナデした八戒は、その身体をすぐに抱き上げた。
「・・・はっかい?」
いつもの大好きな抱っこ。けれど、いつもとは違う力の入り方に、悟浄がキョトリと頭を傾ける。
「ちょっとね、夢を見ちゃったんで・・・」
「ゆめ?」
寝室に向かう八戒の足取りも、どことなく危うい。
「悟浄がね、僕にバイバイしちゃうんです・・・」
「おれがばいばい・・・・っ!?」
有り得ない出来事に、悟浄はまん丸の目を更にまん丸にして見せた。
「悟浄がね、僕の知らない男性と手を繋いでるんです。そして言うんです。『おれな、きょうからこのひとのかいねこになる。ごはんもおいしーし、おへやもひろいし。だからはっかい、ばいばいだ』って」
八戒は、悟浄を抱く手に更に力を込める。
「僕がどんなに待ってって叫んでも、悟浄は待ってくれなくて・・・。このお家にひとりぼっちになっちゃって・・・。悟浄を取り返しに行こうと思っても、ドコに行ったか分からなくて・・・」
着いたベッドに静かに悟浄を下ろすと、八戒はその隣に身を滑り込ませた。
「悲しくて悲しくて、泣きそうな気持ちで起きたら、現実でも悟浄が居ないし、ちょっと動揺しちゃいました」
「はっかい・・・」
サラリと言う八戒だが、悟浄に常にない抱きつき方がその不安を表していた。
労りなど欠片もなく、ただただ必死に悟浄を腕の中に押し込み、決して離そうとはしない。
八戒にとって、悟浄は家族で大事なパートナーだ。
そんな相手を、誰かに持って行かれるなんて、冗談じゃない。
「おれは、はっかいのねこだ」
ちょっと苦しいけれど、悟浄は頑張って口を開く。
「だれかのねこじゃねぇよ?はっかいが、おれをひろってちゃんとねこにしてくれたんだ。だからおれははっかいのものだ」
「悟浄・・・」
「おれは、はっかいがだーいすきなんだ。はっかいのごはんもだいすきだし、なでなでもぎゅーもすきだ。・・・ううん、ごはんなくってもいいんだ。はっかいがいてくれたら、おにぎりいっこでも、ふたりではんぶんこでおなかいっぱいなんだ」
「そんな・・・そんなひもじい思いは絶対にさせません・・・!」
「はっかいがいいんだ。はっかいだけが、いいんだ」
小さい手を隙間から伸ばして、必死に八戒の頭をナデナデする。
お家に来たばかりの頃、野良の時を夢に見て、悟浄は何度もうなされた。
その時に、こうしてナデナデしてもらったのを思い出しながら、一生懸命ナデナデした。
「んとんと、あいしてるv ってやつなんだ」
「悟浄ったら・・・!」
小さい悟浄の力強い説得に、薄暗い中僅かに八戒の目が揺らめく。
「おれがなでなでしててあげるから、はっかいおねむしていいんだぞ?」
一人前に言う悟浄に苦笑しつつ、八戒は頷いて瞼を下ろす。
勿論、そのまま寝入る事なんてない。
けれど、八戒が寝たと信じた悟浄は、しばしナデナデをしていたが、やがてパタリと腕を下ろした。
そ~~っと八戒が瞼を上げれば、そこには満足そうな顔でオネムしちゃってる悟浄の顔がある。
「大人になりましたねぇ・・・」
何時までも子猫ちゃんだと思っていたのに、気づいたらちゃんと相手を甘やかしてあげる優しさも持ち始めていた。
「捲簾やテン兄さんのお陰ですね・・・」
与えられるばかりではない。与えられたモノを更に倍にして相手に与える。
そういう優しさのサイクルを、悟浄は自然に学んでいるのだろう。
「明日の朝ご飯、力入っちゃいそうです・・・」
クスクス笑い、八戒は今度こそ眠るために瞼を下ろした。
今度は、怖い夢なんて見ない。
今度見る夢は、きっと豪華な朝ご飯に驚く悟浄の姿だ。
ソレは、決して夢では終わらないのだが。
「お休み、悟浄」
半分眠りに落ちながら、八戒は世界で一番大切な温もりを抱き締め直した。
今だ暗い部屋の中。
時間はまだ深夜という頃。
しかし、そんな事に拘る余裕がない八戒は、慌てて隣に手を伸ばした。
いつもソコでクゥクゥ眠っている悟浄。
その温もりを探す為だ。
けれど、八戒の手が触れたのは、タダのサラリとしたシーツだけ。
「悟浄・・・?」
上半身を起こし辺りを見渡すが、求めている姿はない。
「悟浄・・・っ!?」
ベッドから下りた八戒は、慌てて部屋を飛び出して、明かりの点いている方向へと走り出した。
「ふんふんふ~~んv」
小さな個室で、悟浄は鼻歌交じりに生理的欲求を解消中だった。
オネムの前に飲んだピルクルを、現在放出中なのだ。
「おかわりしちゃったもんなぁ~v」
やはり、鼻歌交じりの悟浄の背後で、扉は思い切り開けられた。
「悟浄っ!!!」
「うにゃっ!!」
あまりの吃驚に、尻尾も膨らみピーンと立ってしまうのだが・・・。
ちっこは、途中で止まらないのだ。
「なっ、なんだっ!?どうしたんだっ!?」
「悟浄っ、ココにいた・・・っ!!」
「ちっ、ちっこだからっ、おといれにいるんだっ!」
「そうですね、ちっこですね」
納得した感じではあるが、その場から動こうとしない八戒に、悟浄は慌ててちっこを終了させる。
パンツとズボンをちゃんと上げて、お水を流して。
八戒に見つめられながら、洗面所で悟浄用の足場に乗って、おてても洗って。
「おしまいv」
「良くできましたv」
褒めてナデナデした八戒は、その身体をすぐに抱き上げた。
「・・・はっかい?」
いつもの大好きな抱っこ。けれど、いつもとは違う力の入り方に、悟浄がキョトリと頭を傾ける。
「ちょっとね、夢を見ちゃったんで・・・」
「ゆめ?」
寝室に向かう八戒の足取りも、どことなく危うい。
「悟浄がね、僕にバイバイしちゃうんです・・・」
「おれがばいばい・・・・っ!?」
有り得ない出来事に、悟浄はまん丸の目を更にまん丸にして見せた。
「悟浄がね、僕の知らない男性と手を繋いでるんです。そして言うんです。『おれな、きょうからこのひとのかいねこになる。ごはんもおいしーし、おへやもひろいし。だからはっかい、ばいばいだ』って」
八戒は、悟浄を抱く手に更に力を込める。
「僕がどんなに待ってって叫んでも、悟浄は待ってくれなくて・・・。このお家にひとりぼっちになっちゃって・・・。悟浄を取り返しに行こうと思っても、ドコに行ったか分からなくて・・・」
着いたベッドに静かに悟浄を下ろすと、八戒はその隣に身を滑り込ませた。
「悲しくて悲しくて、泣きそうな気持ちで起きたら、現実でも悟浄が居ないし、ちょっと動揺しちゃいました」
「はっかい・・・」
サラリと言う八戒だが、悟浄に常にない抱きつき方がその不安を表していた。
労りなど欠片もなく、ただただ必死に悟浄を腕の中に押し込み、決して離そうとはしない。
八戒にとって、悟浄は家族で大事なパートナーだ。
そんな相手を、誰かに持って行かれるなんて、冗談じゃない。
「おれは、はっかいのねこだ」
ちょっと苦しいけれど、悟浄は頑張って口を開く。
「だれかのねこじゃねぇよ?はっかいが、おれをひろってちゃんとねこにしてくれたんだ。だからおれははっかいのものだ」
「悟浄・・・」
「おれは、はっかいがだーいすきなんだ。はっかいのごはんもだいすきだし、なでなでもぎゅーもすきだ。・・・ううん、ごはんなくってもいいんだ。はっかいがいてくれたら、おにぎりいっこでも、ふたりではんぶんこでおなかいっぱいなんだ」
「そんな・・・そんなひもじい思いは絶対にさせません・・・!」
「はっかいがいいんだ。はっかいだけが、いいんだ」
小さい手を隙間から伸ばして、必死に八戒の頭をナデナデする。
お家に来たばかりの頃、野良の時を夢に見て、悟浄は何度もうなされた。
その時に、こうしてナデナデしてもらったのを思い出しながら、一生懸命ナデナデした。
「んとんと、あいしてるv ってやつなんだ」
「悟浄ったら・・・!」
小さい悟浄の力強い説得に、薄暗い中僅かに八戒の目が揺らめく。
「おれがなでなでしててあげるから、はっかいおねむしていいんだぞ?」
一人前に言う悟浄に苦笑しつつ、八戒は頷いて瞼を下ろす。
勿論、そのまま寝入る事なんてない。
けれど、八戒が寝たと信じた悟浄は、しばしナデナデをしていたが、やがてパタリと腕を下ろした。
そ~~っと八戒が瞼を上げれば、そこには満足そうな顔でオネムしちゃってる悟浄の顔がある。
「大人になりましたねぇ・・・」
何時までも子猫ちゃんだと思っていたのに、気づいたらちゃんと相手を甘やかしてあげる優しさも持ち始めていた。
「捲簾やテン兄さんのお陰ですね・・・」
与えられるばかりではない。与えられたモノを更に倍にして相手に与える。
そういう優しさのサイクルを、悟浄は自然に学んでいるのだろう。
「明日の朝ご飯、力入っちゃいそうです・・・」
クスクス笑い、八戒は今度こそ眠るために瞼を下ろした。
今度は、怖い夢なんて見ない。
今度見る夢は、きっと豪華な朝ご飯に驚く悟浄の姿だ。
ソレは、決して夢では終わらないのだが。
「お休み、悟浄」
半分眠りに落ちながら、八戒は世界で一番大切な温もりを抱き締め直した。
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