その時その時楽しんでいるモノを、無節操に書き連ねています。
日常、ゲーム、手芸以外にも、お人形も普通に登場しております。
大きさ、メーカー、性別も様々、意志を持って話している時もありますから、苦手な方はご遠慮ください。
微温猫庭園というディーラー名で、イベントに参加しています。
写真の無断転載も禁止です。
いささか頼りない足取りだが、金髪双子は両手に荷物を持って山道を歩いていた。
本当なら、こんな仕事やりたくない。
家でゴロゴロしてたり、悟空が遊んでいるのを目の端で見ていたりしたい。
が、出来ない事情がココにある。
「・・・世の中には、すげぇ物好きがいるもんだな」
「・・・世界は広いからな・・・」
諦めたように呟いた双子は、持っていた荷物をソッと玄関の前に置き、迷うことなく踵を返した。
こんな事したくないけど、「金蝉、三蔵、ありがとな!」と屈託のない笑顔で告げられる言葉欲しさに、彼らは宅配便をやっていたりするのだ。
「さっさと帰るぞ」
「言われなくても帰る」
ちょっと息を切らし気味のオコジョ二人は、先を争うように今来た道を戻り始めた。
「ふんふんふ~ん」
ご機嫌全開で尻尾を振りまくっているウサギさんは、ウサギスリッパを装着した足で軽快なスキップを披露していた。
なんせ、待ちに待った例のアレが届く日。
「僕の子猫ちゃん達は、今回は何をくれたんでしょうか~?」
世の中は広いモノで、家事は勿論、生活能力がさほどないウサギさんを好む人達がいる。
そんな心優しいお嬢さん方が、時折ウサギ宛にプレゼントをくれるのだ。
「んふふ~、楽しみです~v」
玄関でスリッパを脱ぐと、適当なサンダルに履き替え、イソイソと扉を開ける。
ソコには、段ボールがチョコリと置いてあった。
律儀に貼られた伝票には、「ウサ天様」と記されている。
「着ました~!」
ヘラリと笑い、段ボールをヒョイと肩に担ぐと、片手で扉を閉めてまたスリッパを履く。
「けんれ~ん」
高揚する気持ちのまま、キッチンで料理の下ごしらえをしている捲簾の名前を呼ぶ。
「ん~?」
「きました!僕のファンがお菓子を贈ってくれました!」
「良かったなぁ~」
まるで子供を褒めるように天蓬の頭を撫でてやると、
「みんな僕を愛しちゃってるんですねぇ~v」
と、否定してやった方が良いのか肯定してやった方が良いのか、今ひとつわからない言葉を吐き出すウサギに、捲簾はただ笑みを浮かべるだけでやり過ごす。
「何があるかな~?」
そんな仙人の心中など察しないし察しようともしない天蓬は、容赦なく箱を開けだす。
中から溢れてきたのは・・・。
「あっ、お煎餅だ!ラーメンやバスボムに・・・へぇ~、見た事ないジャガイモのお菓子だです・・・ぽっくる?」
感心しつつ見ていた天蓬だが、キョトリと首を傾げる。
「捲簾」
「なんだ?」
「ドエムって書いてあるガマグチが出てきたんですけど」
「それはお前か悟浄専用だな。お前が使わないなら悟浄にやれよ」
「そうですね・・・、あ、コッチは僕が着けようっと」
いささか用途不明なモノが混じってはいたものの、珍しい差し入れに天蓬はウキウキと漁り続けたのだった。
前もって知らされておいた時間に訪れた八戒と悟浄は、出迎えてくれた天蓬の首に「ドエム」と書かれたガマグチがぶら下がっているのを見た途端、「あぁ、新手のプレイだな」と疑う事もなく思った。
なんせ、この二人だ。
他者が居ようが居まいが、さほど問題ではない。やりたい事をやるだけだ。
「今回もお菓子贈ってくれてますよ~」
「それは良かったですねぇ」
「楽しみ~」
会話も、全くソレに触れない。
むしろ、触れたくない。
テーブルには、前もって皿にお菓子を広げておいてあり、すぐに食べられるようになっていて。
捲簾が丁寧に入れた珈琲も並び、いよいよお茶会となった。
「うわっ、このマヨネーズおかきっ、すっごく後引く!」
「この手のって止まらねぇよなぁ・・・」
「こっちのラーメンすげぇな。シロクマだって」
「ココまでパッケージに調理済みの写真がないと、もはやシロクマ入りと勘違いしそうですねぇ」
「あ、こっちのは2食分のラーメンです」
「こういう麺ってなんかクセになって美味いんだよな」
「素朴・・・ていうか、懐かしい味なんですよね」
「俺食った事ないから食ってみたい」
「折角だから、二つのウチどっちか一つ持ってけよ」
「迷う~!」
ボリボリと軽快な音を立てつつ、お喋りは止まらない。
「あれ、コレってちょっと巷で話題になってるお菓子でしょ?」
「限定ってヤツ?フライドポテトそのまんまって感じで詰まってるぜ」
「一つ開けちゃおうv・・・・あっ、美味しい!」
「やっぱり話題になるだけあるんだな・・・ってっ、お前何やってんだよ!!」
一本口に入れたウサギさんは、なんと一袋一気に口に放り込んでしまったのだ。
「なんほんふらいおくひにひゃいるひゃな~って」
「そんな勿体ない食い方するな!」
「えっ、怒る所ってソコですか!?」
「・・・天蓬は少々の事じゃ怪我とか病気しそうにないしな」
「・・・確かに」
「八戒、バスボムも貰ったみたいだぜ」
「わっ、ホントだ!良い香りですねぇ・・・。コッチはバブルバスになるのかな?ウチはお湯を溜めるタイプの浴槽だから、貰ってイイでしょうか?」
「天蓬っ、一気食いするなって!」
「らって~!」
「・・・・・聞いてねぇから、良いんじゃねぇかな?」
「そうですね・・・」
「でもさぁ、世の中にはホントに奇特なヤツがいるよなぁ」
「このウサギにですからねぇ・・・」
「ウサギ・・・には見えねぇだろ?」
「・・・・どうして、パンダ耳のカチューシャ着けてるんでしょうか・・・?」
「そんなに耳増やしてもしょうがねぇのに」
「そういう問題じゃないですよ、悟浄」
ちょっと論点がずれてしまったが、これ以上話しても答えは出そうにないので、二人はまだ開封されていないせんべいに手を出した。
彼らのお茶会は、こうして過ぎていったのでした。

ありがとうございました!
本当なら、こんな仕事やりたくない。
家でゴロゴロしてたり、悟空が遊んでいるのを目の端で見ていたりしたい。
が、出来ない事情がココにある。
「・・・世の中には、すげぇ物好きがいるもんだな」
「・・・世界は広いからな・・・」
諦めたように呟いた双子は、持っていた荷物をソッと玄関の前に置き、迷うことなく踵を返した。
こんな事したくないけど、「金蝉、三蔵、ありがとな!」と屈託のない笑顔で告げられる言葉欲しさに、彼らは宅配便をやっていたりするのだ。
「さっさと帰るぞ」
「言われなくても帰る」
ちょっと息を切らし気味のオコジョ二人は、先を争うように今来た道を戻り始めた。
「ふんふんふ~ん」
ご機嫌全開で尻尾を振りまくっているウサギさんは、ウサギスリッパを装着した足で軽快なスキップを披露していた。
なんせ、待ちに待った例のアレが届く日。
「僕の子猫ちゃん達は、今回は何をくれたんでしょうか~?」
世の中は広いモノで、家事は勿論、生活能力がさほどないウサギさんを好む人達がいる。
そんな心優しいお嬢さん方が、時折ウサギ宛にプレゼントをくれるのだ。
「んふふ~、楽しみです~v」
玄関でスリッパを脱ぐと、適当なサンダルに履き替え、イソイソと扉を開ける。
ソコには、段ボールがチョコリと置いてあった。
律儀に貼られた伝票には、「ウサ天様」と記されている。
「着ました~!」
ヘラリと笑い、段ボールをヒョイと肩に担ぐと、片手で扉を閉めてまたスリッパを履く。
「けんれ~ん」
高揚する気持ちのまま、キッチンで料理の下ごしらえをしている捲簾の名前を呼ぶ。
「ん~?」
「きました!僕のファンがお菓子を贈ってくれました!」
「良かったなぁ~」
まるで子供を褒めるように天蓬の頭を撫でてやると、
「みんな僕を愛しちゃってるんですねぇ~v」
と、否定してやった方が良いのか肯定してやった方が良いのか、今ひとつわからない言葉を吐き出すウサギに、捲簾はただ笑みを浮かべるだけでやり過ごす。
「何があるかな~?」
そんな仙人の心中など察しないし察しようともしない天蓬は、容赦なく箱を開けだす。
中から溢れてきたのは・・・。
「あっ、お煎餅だ!ラーメンやバスボムに・・・へぇ~、見た事ないジャガイモのお菓子だです・・・ぽっくる?」
感心しつつ見ていた天蓬だが、キョトリと首を傾げる。
「捲簾」
「なんだ?」
「ドエムって書いてあるガマグチが出てきたんですけど」
「それはお前か悟浄専用だな。お前が使わないなら悟浄にやれよ」
「そうですね・・・、あ、コッチは僕が着けようっと」
いささか用途不明なモノが混じってはいたものの、珍しい差し入れに天蓬はウキウキと漁り続けたのだった。
前もって知らされておいた時間に訪れた八戒と悟浄は、出迎えてくれた天蓬の首に「ドエム」と書かれたガマグチがぶら下がっているのを見た途端、「あぁ、新手のプレイだな」と疑う事もなく思った。
なんせ、この二人だ。
他者が居ようが居まいが、さほど問題ではない。やりたい事をやるだけだ。
「今回もお菓子贈ってくれてますよ~」
「それは良かったですねぇ」
「楽しみ~」
会話も、全くソレに触れない。
むしろ、触れたくない。
テーブルには、前もって皿にお菓子を広げておいてあり、すぐに食べられるようになっていて。
捲簾が丁寧に入れた珈琲も並び、いよいよお茶会となった。
「うわっ、このマヨネーズおかきっ、すっごく後引く!」
「この手のって止まらねぇよなぁ・・・」
「こっちのラーメンすげぇな。シロクマだって」
「ココまでパッケージに調理済みの写真がないと、もはやシロクマ入りと勘違いしそうですねぇ」
「あ、こっちのは2食分のラーメンです」
「こういう麺ってなんかクセになって美味いんだよな」
「素朴・・・ていうか、懐かしい味なんですよね」
「俺食った事ないから食ってみたい」
「折角だから、二つのウチどっちか一つ持ってけよ」
「迷う~!」
ボリボリと軽快な音を立てつつ、お喋りは止まらない。
「あれ、コレってちょっと巷で話題になってるお菓子でしょ?」
「限定ってヤツ?フライドポテトそのまんまって感じで詰まってるぜ」
「一つ開けちゃおうv・・・・あっ、美味しい!」
「やっぱり話題になるだけあるんだな・・・ってっ、お前何やってんだよ!!」
一本口に入れたウサギさんは、なんと一袋一気に口に放り込んでしまったのだ。
「なんほんふらいおくひにひゃいるひゃな~って」
「そんな勿体ない食い方するな!」
「えっ、怒る所ってソコですか!?」
「・・・天蓬は少々の事じゃ怪我とか病気しそうにないしな」
「・・・確かに」
「八戒、バスボムも貰ったみたいだぜ」
「わっ、ホントだ!良い香りですねぇ・・・。コッチはバブルバスになるのかな?ウチはお湯を溜めるタイプの浴槽だから、貰ってイイでしょうか?」
「天蓬っ、一気食いするなって!」
「らって~!」
「・・・・・聞いてねぇから、良いんじゃねぇかな?」
「そうですね・・・」
「でもさぁ、世の中にはホントに奇特なヤツがいるよなぁ」
「このウサギにですからねぇ・・・」
「ウサギ・・・には見えねぇだろ?」
「・・・・どうして、パンダ耳のカチューシャ着けてるんでしょうか・・・?」
「そんなに耳増やしてもしょうがねぇのに」
「そういう問題じゃないですよ、悟浄」
ちょっと論点がずれてしまったが、これ以上話しても答えは出そうにないので、二人はまだ開封されていないせんべいに手を出した。
彼らのお茶会は、こうして過ぎていったのでした。
ありがとうございました!
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「ねぇ、悟浄?」
ソファでクッションをだっこしてごろごろしてたら、はっかいがおれのとこきておなまえよんでくれた。
「なんだ?」
「お昼ご飯、何か食べたいモノあります?」
・・・おひるごはん・・・。そっかっ、もうそんなじかんになるんだ!
んとんと、なにがいいかな?あさごはんは、ごはんと、のりと、なっとう(いとをきるのにぐるぐるするのがたいへんなんだ)と、あとあとしゃけ~v
しゃけはとーってもんまいなぁv
じぶじぶのしゃけを、はっかいにほじほじしてもらって、ごはんにのっけてたべるんだv
おくちのなかで、おいしいあぶらとごはんがまじりあって~、んでんで、ごっくんしたあとは、おとうふのおみそしるをごっくんしたんだ。
おいしかった~・・・v
はっ、あさごはんをおもいだして、しわわせきぶんになってるばあいじゃなかった!
おひるごはんのおはなしだった!
「えっと~」
「こんな感じのモノ~っていうので良いですよ?」
「そうだな・・・。あっ、そうだ!あかいすぱげっちがいいっ!」
「赤い・・・あぁ、ナポリタンですね!」
「そうだそうだ。そういうおなまえだった」
まえにはっかいがつくってくれたんだ。とまとけちゃっぷのすぱげっちv
たまねぎと~、ちょっとにがいぴーまんと~、きのこと~、べーこんとういんながはいってるんだ!
おいしかったんだ~v
おもいだして、ついおくちぺろぺろしちった。
「了解ですv おいしーの作りますね!」
「わーい!」
きっちんへむかったはっかいをみたあと、うれしくってくっしょんにおかおをぐりぐりしちった。
・・・たべたいものをきいてくれる。たべたいものをつくってくれる。たべたいものがたべられる。
それって、だいじなんだ。
それしかないから、それをたべる。
のらのときは、ずーっとそうだった。
ごはんがたくさんあるから、えらべるんだ。
おれ、ちゃーんとしってるんだ。
・・・ありがと、はっかいv
ソファでクッションをだっこしてごろごろしてたら、はっかいがおれのとこきておなまえよんでくれた。
「なんだ?」
「お昼ご飯、何か食べたいモノあります?」
・・・おひるごはん・・・。そっかっ、もうそんなじかんになるんだ!
んとんと、なにがいいかな?あさごはんは、ごはんと、のりと、なっとう(いとをきるのにぐるぐるするのがたいへんなんだ)と、あとあとしゃけ~v
しゃけはとーってもんまいなぁv
じぶじぶのしゃけを、はっかいにほじほじしてもらって、ごはんにのっけてたべるんだv
おくちのなかで、おいしいあぶらとごはんがまじりあって~、んでんで、ごっくんしたあとは、おとうふのおみそしるをごっくんしたんだ。
おいしかった~・・・v
はっ、あさごはんをおもいだして、しわわせきぶんになってるばあいじゃなかった!
おひるごはんのおはなしだった!
「えっと~」
「こんな感じのモノ~っていうので良いですよ?」
「そうだな・・・。あっ、そうだ!あかいすぱげっちがいいっ!」
「赤い・・・あぁ、ナポリタンですね!」
「そうだそうだ。そういうおなまえだった」
まえにはっかいがつくってくれたんだ。とまとけちゃっぷのすぱげっちv
たまねぎと~、ちょっとにがいぴーまんと~、きのこと~、べーこんとういんながはいってるんだ!
おいしかったんだ~v
おもいだして、ついおくちぺろぺろしちった。
「了解ですv おいしーの作りますね!」
「わーい!」
きっちんへむかったはっかいをみたあと、うれしくってくっしょんにおかおをぐりぐりしちった。
・・・たべたいものをきいてくれる。たべたいものをつくってくれる。たべたいものがたべられる。
それって、だいじなんだ。
それしかないから、それをたべる。
のらのときは、ずーっとそうだった。
ごはんがたくさんあるから、えらべるんだ。
おれ、ちゃーんとしってるんだ。
・・・ありがと、はっかいv
ハッと思って勢いよく起きあがり、慌てた心のままで見た窓。
カーテン越しとはいえ、明らかにとっぷりと日が暮れてる様子がわかり、八戒は思わず溜息を吐いた。
「また、やっちゃった・・・」
ガリガリと寝癖の着いた頭を掻き、視線を下ろした先には、赤くて小さい子猫ちゃんが、ちょっとお耳をプルプルしながらオネムをしていて。
「悟浄のお昼寝見てると、どうしてこんなに眠くなるんだろう・・・」
初めは、ただ横で寝転んでいただけだった。
幸せイッパイのお顔でオネムしている悟浄を見るのは、八戒にとっては至福の時だ。
ちょっぴり大変だった家事の疲れやお仕事の疲れも、この顔を見るだけで吹き飛んでしまう。
この顔を守る事が出来た疲れなら、なんて幸せな疲れなんだろうと思い、ついついマジマジと見つめてしまい・・・。
見ている間に、八戒自身も眠ってしまう。という事を繰り返しているのだ。
「・・・ん・・・あっかい・・・どした・・・?」
隣にあった温もりが去った事に気づいた悟浄が、ちっちゃいグーをクシクシとおめめに当てながら、ゆっくりと起きあがった。
「ごめんね、悟浄。僕もうっかり寝ちゃって、晩ご飯の時間過ぎちゃいました」
「そうかそうか。おねむはいいもんな。いいおねむだったら、いっぱいねちゃうもんな・・・」
うんうん。と頷いた悟浄は、『晩ご飯』の言葉に敏感に反応したのか、無意識にお腹をナデナデとしてみせる。
「な、何かすぐに作りますね!」
慌ててベッドから降りて、急いでキッチンへ向かう。
が、急いで開いた冷蔵庫を見て、八戒はまた溜息を吐いた。
「スーパー行こうと思ってたんだ・・・」
冷蔵庫のお掃除、なんて事でお昼に野菜タップリの中華丼を作ってしまい、お陰で野菜なんて影も形も見あたらない。
大ピンチという言葉が八戒の脳裏に浮かび上がる。
だって、子猫ちゃんを待たせたりしたくないのだ。
何時だって、お腹が空いたらちゃんとご飯を食べられると、安心して生きて欲しいのだ。
手当たり次第に棚を開けて食材を探している八戒の後ろに、トテトテとやってきた悟浄が、キョトリと首を傾げてみせる。
「はっかい、どした?」
「いえ、ちょっと・・・」
まさか、食材がない。とは言うわけにもいかず。
ちょっぴり途方に暮れかけたその時。
「ん?はっかいのけーたいのおでんわがなってる!」
小さい電子音を聞きつけた悟浄が、素早くお耳を震わせて走り出す。
すぐに持ってきてくれた携帯を受け取った八戒は、着信の名前に縋るように通話ボタンを押した。
「テン兄さん!?」
『はい~、天ちゃんですよ~。今、電話して大丈夫ですか?』
「はい、大丈夫ですよ」
『あのですね、ちょっとおでん作りすぎまして。もし晩ご飯まだだったら、一緒にどうかと思って電話を・・・』
「ええっ、是非窺います!おでん素敵です!寒い冬には素晴らしいです!」
『は、八戒?』
「実は、晩ご飯がピンチでして」
『なるほど』
どうやらそれだけで伝わったらしい天蓬が、向こうでクスクスと笑う声が響く。
『それじゃ、お待ちしてますね~』
「すぐに窺いますよ~」
通話の着れた携帯をジーパンのポケットにねじ込むと、今の会話でおでんを食べに行くと悟ったウキウキ悟浄を抱っこする。
「にーちゃんとこ、いくか?んで、おでんたべちゃうか?」
「はい。おでん食べに行きましょう」
「んふ~、おれ、おでんすき~」
何食べようかと、ピンク色に染まったほっぺに、八戒は思わずちゅーをしてしまったのだった。
慣れたマンションに向かい、玄関に足を踏み入れた瞬間、おでんの良い匂いが二人の鼻に飛び込んできた。
「むふ~v」
「美味しそうな匂いですねぇv」
おじゃましま~すなんて良いながら、勝手に中に入ると、キッチンで二人が揃いのエプロンで忙しなく準備をしてくれている。
「いらっしゃい」
「おそとっ、さむかっただろっ?ふたりともこっちでぬくぬくするといいんだっ!」
続きになっているリビングにあるこたつのふとんを、捲簾はペロンと捲る。
その好意に甘えつつ、すっぽりとコタツに入ると、目の前にはクツクツと煮えているおでん達が身体を揺らしていた。
「・・・なるほど。コレを買ったんですね」
「てんぽっ、これっ、てれびでみたことあるっ!おみせやさんのおでんだ!」
一般家庭でおでんを作る時は、大鍋だったり土鍋だったりするのだが、二人の前にあるのは、家庭用に作られたおでん用の鍋だ。
しっかりと区切られてそれぞれの具材事に入れられるようになっているソレは、見てるだけでも本格的な味がする気がする。
「お店で安く売ってて、見てたら欲しくなっちゃいまして」
「かったら、すぐにつかいたくなったんだよな!」
ソレは確かに。と妙な納得をしながら座っていると、お箸や取り皿、大人用にカラシを揃えた天蓬と捲簾もすっぽりとコタツに入り込む。
「じゃ、早速食べましょうか?」
「いっただきま~す!」
「いっただきま~す!」
声を揃えて挨拶をした子猫ちゃん達は、目をキラキラさせて取り皿を飼い主に手渡す。
「んとんと、おれな、たまごっ!あとはんぺん!」
「おれもっ、おれもたまごっ!あとじゃがいも!」
「はいはい、どれも沢山入ってますからね。お腹いーっぱい食べて下さい」
「あ、牛すじいれてくれてる」
「上手く柔らかくなってくれてると良いんですけど」
大人の会話なんて聞いちゃいない子猫ちゃん達は、目の前に置いてもらったお皿に夢中だ。
熱々の具材をフォークで突き刺し、必死にフーフーして冷ます。
あまりの必死さに、つい隣からもフーフーしちゃう飼い主達だ。
飼い主の協力を得て、やっと冷めてきた卵に、子猫ちゃん達は齧り付いた。
色の変わった白身はしっかりとダシの味がして、ソコに黄身の濃厚な味が混じり合い・・・。
「んま~v」
「んふ~v」
思わず、片方のおててをほっぺに当てちゃう子猫ちゃん達だ。
美味しそうに頬張る姿を見て、飼い主もそれぞれ大根だったり練り物だったりを口に頬張る。
「ん~、良いおダシの味が染み渡ってるv」
「美味しいですねぇv」
口中に広がる幸せの味に、飼い主も顔を綻ばせた。
「まだまだ寒波続きますかねぇ・・・」
「早く春が来ると良いんですけど」
「・・そしたら、皆で桜見に行きましょうか?お弁当持って」
「良いですね!」
暖かくなる頃の幸せな計画を立てつつ、手は子猫ちゃんがおねだりする具材をお皿に入れてやる。
冬だからこそ味わえる、ほのぼのとした時間に、飼い主達も子猫ちゃん達も笑顔が絶える事はなかった。
カーテン越しとはいえ、明らかにとっぷりと日が暮れてる様子がわかり、八戒は思わず溜息を吐いた。
「また、やっちゃった・・・」
ガリガリと寝癖の着いた頭を掻き、視線を下ろした先には、赤くて小さい子猫ちゃんが、ちょっとお耳をプルプルしながらオネムをしていて。
「悟浄のお昼寝見てると、どうしてこんなに眠くなるんだろう・・・」
初めは、ただ横で寝転んでいただけだった。
幸せイッパイのお顔でオネムしている悟浄を見るのは、八戒にとっては至福の時だ。
ちょっぴり大変だった家事の疲れやお仕事の疲れも、この顔を見るだけで吹き飛んでしまう。
この顔を守る事が出来た疲れなら、なんて幸せな疲れなんだろうと思い、ついついマジマジと見つめてしまい・・・。
見ている間に、八戒自身も眠ってしまう。という事を繰り返しているのだ。
「・・・ん・・・あっかい・・・どした・・・?」
隣にあった温もりが去った事に気づいた悟浄が、ちっちゃいグーをクシクシとおめめに当てながら、ゆっくりと起きあがった。
「ごめんね、悟浄。僕もうっかり寝ちゃって、晩ご飯の時間過ぎちゃいました」
「そうかそうか。おねむはいいもんな。いいおねむだったら、いっぱいねちゃうもんな・・・」
うんうん。と頷いた悟浄は、『晩ご飯』の言葉に敏感に反応したのか、無意識にお腹をナデナデとしてみせる。
「な、何かすぐに作りますね!」
慌ててベッドから降りて、急いでキッチンへ向かう。
が、急いで開いた冷蔵庫を見て、八戒はまた溜息を吐いた。
「スーパー行こうと思ってたんだ・・・」
冷蔵庫のお掃除、なんて事でお昼に野菜タップリの中華丼を作ってしまい、お陰で野菜なんて影も形も見あたらない。
大ピンチという言葉が八戒の脳裏に浮かび上がる。
だって、子猫ちゃんを待たせたりしたくないのだ。
何時だって、お腹が空いたらちゃんとご飯を食べられると、安心して生きて欲しいのだ。
手当たり次第に棚を開けて食材を探している八戒の後ろに、トテトテとやってきた悟浄が、キョトリと首を傾げてみせる。
「はっかい、どした?」
「いえ、ちょっと・・・」
まさか、食材がない。とは言うわけにもいかず。
ちょっぴり途方に暮れかけたその時。
「ん?はっかいのけーたいのおでんわがなってる!」
小さい電子音を聞きつけた悟浄が、素早くお耳を震わせて走り出す。
すぐに持ってきてくれた携帯を受け取った八戒は、着信の名前に縋るように通話ボタンを押した。
「テン兄さん!?」
『はい~、天ちゃんですよ~。今、電話して大丈夫ですか?』
「はい、大丈夫ですよ」
『あのですね、ちょっとおでん作りすぎまして。もし晩ご飯まだだったら、一緒にどうかと思って電話を・・・』
「ええっ、是非窺います!おでん素敵です!寒い冬には素晴らしいです!」
『は、八戒?』
「実は、晩ご飯がピンチでして」
『なるほど』
どうやらそれだけで伝わったらしい天蓬が、向こうでクスクスと笑う声が響く。
『それじゃ、お待ちしてますね~』
「すぐに窺いますよ~」
通話の着れた携帯をジーパンのポケットにねじ込むと、今の会話でおでんを食べに行くと悟ったウキウキ悟浄を抱っこする。
「にーちゃんとこ、いくか?んで、おでんたべちゃうか?」
「はい。おでん食べに行きましょう」
「んふ~、おれ、おでんすき~」
何食べようかと、ピンク色に染まったほっぺに、八戒は思わずちゅーをしてしまったのだった。
慣れたマンションに向かい、玄関に足を踏み入れた瞬間、おでんの良い匂いが二人の鼻に飛び込んできた。
「むふ~v」
「美味しそうな匂いですねぇv」
おじゃましま~すなんて良いながら、勝手に中に入ると、キッチンで二人が揃いのエプロンで忙しなく準備をしてくれている。
「いらっしゃい」
「おそとっ、さむかっただろっ?ふたりともこっちでぬくぬくするといいんだっ!」
続きになっているリビングにあるこたつのふとんを、捲簾はペロンと捲る。
その好意に甘えつつ、すっぽりとコタツに入ると、目の前にはクツクツと煮えているおでん達が身体を揺らしていた。
「・・・なるほど。コレを買ったんですね」
「てんぽっ、これっ、てれびでみたことあるっ!おみせやさんのおでんだ!」
一般家庭でおでんを作る時は、大鍋だったり土鍋だったりするのだが、二人の前にあるのは、家庭用に作られたおでん用の鍋だ。
しっかりと区切られてそれぞれの具材事に入れられるようになっているソレは、見てるだけでも本格的な味がする気がする。
「お店で安く売ってて、見てたら欲しくなっちゃいまして」
「かったら、すぐにつかいたくなったんだよな!」
ソレは確かに。と妙な納得をしながら座っていると、お箸や取り皿、大人用にカラシを揃えた天蓬と捲簾もすっぽりとコタツに入り込む。
「じゃ、早速食べましょうか?」
「いっただきま~す!」
「いっただきま~す!」
声を揃えて挨拶をした子猫ちゃん達は、目をキラキラさせて取り皿を飼い主に手渡す。
「んとんと、おれな、たまごっ!あとはんぺん!」
「おれもっ、おれもたまごっ!あとじゃがいも!」
「はいはい、どれも沢山入ってますからね。お腹いーっぱい食べて下さい」
「あ、牛すじいれてくれてる」
「上手く柔らかくなってくれてると良いんですけど」
大人の会話なんて聞いちゃいない子猫ちゃん達は、目の前に置いてもらったお皿に夢中だ。
熱々の具材をフォークで突き刺し、必死にフーフーして冷ます。
あまりの必死さに、つい隣からもフーフーしちゃう飼い主達だ。
飼い主の協力を得て、やっと冷めてきた卵に、子猫ちゃん達は齧り付いた。
色の変わった白身はしっかりとダシの味がして、ソコに黄身の濃厚な味が混じり合い・・・。
「んま~v」
「んふ~v」
思わず、片方のおててをほっぺに当てちゃう子猫ちゃん達だ。
美味しそうに頬張る姿を見て、飼い主もそれぞれ大根だったり練り物だったりを口に頬張る。
「ん~、良いおダシの味が染み渡ってるv」
「美味しいですねぇv」
口中に広がる幸せの味に、飼い主も顔を綻ばせた。
「まだまだ寒波続きますかねぇ・・・」
「早く春が来ると良いんですけど」
「・・そしたら、皆で桜見に行きましょうか?お弁当持って」
「良いですね!」
暖かくなる頃の幸せな計画を立てつつ、手は子猫ちゃんがおねだりする具材をお皿に入れてやる。
冬だからこそ味わえる、ほのぼのとした時間に、飼い主達も子猫ちゃん達も笑顔が絶える事はなかった。
ぬくぬくオコタに入っている八戒の足元に、ちょこりとお座りしているのは飼い猫の悟浄だ。
胡座をかいている八戒の足に座り、テレビを見たりおやつを頬張るのが、小さい子猫ちゃんのささやかな楽しみなのだ。
ご機嫌にお耳をプルプルさせ、時折「ふんふんふ~んv」と鼻歌を披露する悟浄に、八戒の顔に自然と笑みがこぼれる。
「悟浄、食べ過ぎたら駄目ですよ?」
「うんうん、わかってるからだいじょうぶだ!」
イイコのお返事をしつつも、プクプクおててが伸びている先には、揚げられたばかりのおかきがこんもりと盛られているお皿。
お正月に食べ切れなかったお餅を、小さく刻み、おやつとして八戒がおかきにしたのだ。
香ばしい匂いをさせているソレを、子猫ちゃんは指先で二つ程摘むと、すぐにお口へと放り込んだ。
ポリポリと良い音をさせた悟浄は、フニャンと顔を綻ばせる。
「なんこたべてもんまいなぁv」
ウンウンと頷くと、おててはまたおかきのお皿へ伸びて行く。
食べ過ぎては駄目だと言ってはいるが、こうまで幸せそうに頬張られてしまうと、お腹を壊す量でなければ、止めるのも戸惑う。
実際、自分でも美味しく出来たと思うモノだ。
「んふ~、おいしいおやつ、ぬくぬくおこた、それに…」
ちらっと顔を上げ、ニッコリ笑顔が向かった先は大好きな飼い主。
「はっかいのおひざvおれのばしょv」
くふくふ笑い、尻尾を八戒の腰にクルリと巻き付ける。
些細な日常から幸せを感じられる小さな子猫ちゃんの可愛い独占欲に、八戒は目を細めた。
「ここは悟浄専用ですからねv」
「はぁ~い!」
嬉しそうにお返事して、またおててをおかきに伸ばす。
他愛ない会話の大きな幸せ。
心がほっこりとするのを感じながら、夕食は軽いモノにしようと八戒は思ったのだった。
胡座をかいている八戒の足に座り、テレビを見たりおやつを頬張るのが、小さい子猫ちゃんのささやかな楽しみなのだ。
ご機嫌にお耳をプルプルさせ、時折「ふんふんふ~んv」と鼻歌を披露する悟浄に、八戒の顔に自然と笑みがこぼれる。
「悟浄、食べ過ぎたら駄目ですよ?」
「うんうん、わかってるからだいじょうぶだ!」
イイコのお返事をしつつも、プクプクおててが伸びている先には、揚げられたばかりのおかきがこんもりと盛られているお皿。
お正月に食べ切れなかったお餅を、小さく刻み、おやつとして八戒がおかきにしたのだ。
香ばしい匂いをさせているソレを、子猫ちゃんは指先で二つ程摘むと、すぐにお口へと放り込んだ。
ポリポリと良い音をさせた悟浄は、フニャンと顔を綻ばせる。
「なんこたべてもんまいなぁv」
ウンウンと頷くと、おててはまたおかきのお皿へ伸びて行く。
食べ過ぎては駄目だと言ってはいるが、こうまで幸せそうに頬張られてしまうと、お腹を壊す量でなければ、止めるのも戸惑う。
実際、自分でも美味しく出来たと思うモノだ。
「んふ~、おいしいおやつ、ぬくぬくおこた、それに…」
ちらっと顔を上げ、ニッコリ笑顔が向かった先は大好きな飼い主。
「はっかいのおひざvおれのばしょv」
くふくふ笑い、尻尾を八戒の腰にクルリと巻き付ける。
些細な日常から幸せを感じられる小さな子猫ちゃんの可愛い独占欲に、八戒は目を細めた。
「ここは悟浄専用ですからねv」
「はぁ~い!」
嬉しそうにお返事して、またおててをおかきに伸ばす。
他愛ない会話の大きな幸せ。
心がほっこりとするのを感じながら、夕食は軽いモノにしようと八戒は思ったのだった。
きょうは、おそとはさむさむなんだ。
ちべたいかぜがいーっぱいふいてるから、おかおがいたくなるんだ。
こんなひはおこただ!
ぬくぬくおこたにもぐりこんで、さむいひをのりきるんだ!
「悟浄」
「なんだ?」
「…ちっこ我慢したら、メッですよ?」
「だ、だいじょうぶだ!ちゃんとおといれいく!」
「イイコイイコ」
おれのあたまをなでなでして、はっかいはキッチンにいっちゃった。
…おこたにはいったら、ちっこしたくても、でるのいやになっちゃうんだ。
だから、いつもはっかいにメッされてだっこしてもらっておといれにいくんだ。
おれがわるいんじゃないとおもうんだ。
わるいのは、ぬくぬくのおこただとおもうんだ。
でも、わるいこがおこただってはっかいがしったら、おこたがメッされるしかたづけられちゃう。
だから、おれがかわりにメッされてあげるんだ、うんうん。
…なんか、ちっこしたくなってきた。
でもだいじょうぶだ!まだがまんできるから!
んふ~、ぬくぬくおこたはいいな。
さむいのはいやだけど、さむいからぬくぬくがしわわせなんだv
こんなぬくぬくをくれるおこたのためなら、おれ、いーっぱいメッされてもいいや!
ちべたいかぜがいーっぱいふいてるから、おかおがいたくなるんだ。
こんなひはおこただ!
ぬくぬくおこたにもぐりこんで、さむいひをのりきるんだ!
「悟浄」
「なんだ?」
「…ちっこ我慢したら、メッですよ?」
「だ、だいじょうぶだ!ちゃんとおといれいく!」
「イイコイイコ」
おれのあたまをなでなでして、はっかいはキッチンにいっちゃった。
…おこたにはいったら、ちっこしたくても、でるのいやになっちゃうんだ。
だから、いつもはっかいにメッされてだっこしてもらっておといれにいくんだ。
おれがわるいんじゃないとおもうんだ。
わるいのは、ぬくぬくのおこただとおもうんだ。
でも、わるいこがおこただってはっかいがしったら、おこたがメッされるしかたづけられちゃう。
だから、おれがかわりにメッされてあげるんだ、うんうん。
…なんか、ちっこしたくなってきた。
でもだいじょうぶだ!まだがまんできるから!
んふ~、ぬくぬくおこたはいいな。
さむいのはいやだけど、さむいからぬくぬくがしわわせなんだv
こんなぬくぬくをくれるおこたのためなら、おれ、いーっぱいメッされてもいいや!
さほど広いわけではないが、八戒の家にはちゃんとした庭がある。
元よりマメな青年だが、小さくて愛しい存在と共に過ごすようになってから、ますますマメさが増し、庭はちょっとした庭園のようだった。
季節ごとに咲き乱れる花々や、色を変える木々の葉は、大人だけではなく子猫ちゃんたちも楽しませる。
「うにゃー!」
「うにゃにゃー!」
庭を走り回る子猫ちゃんたちのはしゃぐ声は、室内に居る飼い主にも勿論届いた。
「楽しそうですねぇ」
淹れてもらった珈琲を口に運びながら庭に目をやる天蓬は、おそらく自分では気付いてないだろうと思われるぐらい微笑んでいて。
そんな従兄弟の顔を見られる事が出来た八戒も、表情は常にないほど柔和だ。
「寒くてもヘッチャラですもんね」
「子猫ちゃんは元気が一番ですv」
「確かに」
そんな会話がされてるなんて全く知る事もない子猫ちゃんたちは、木から舞い落ちる葉を掴まえようと必死だった。
「まて!まて!」
「こっち!こっち!」
プクプクホッペを真っ赤にさせて、小さいおててを一生懸命に空へ向ける。
子猫ちゃんたちにとって、ただ落ちる葉でさえ自然が提供してくれた遊びの一つなのだ。
「そろそろお家に入らなきゃダメですよ」
さすがに身体を気にした八戒が声を掛けると、子猫ちゃんたちはうにゃうにゃ言いながら駆け寄ってくる。
「あのな、あのな、おれいーっぱいとれた!」
捲簾の両手イッパイに掴まれたのは、綺麗に色付いた葉っぱたち。
「凄いですねぇ」
飼い猫の成果に天蓬が目を細める。
「悟浄はどうでした?」
子猫ちゃんたちが脱いだ、フード付きのコートを受け取りながら八戒が問うと、赤いお耳がヘニョンと下を向いた。
「…おれ、ぜんぜんとれなかった」
「…そういう時もありますから、明日また頑張ってみましょうね」
「…うん」
「ごじょうなっ、とってもおしかったんだ!もうちょっとだったんだ!」
弟の努力を必死に力説する捲簾に、飼い主二人が微笑んだ時。
「あれ?」
コートを手にしていた八戒が上げた声に、三人の視線が集まる。
「おれ、おようふくよごしたか?」
「そんな事じゃないですよ。…悟浄、ちゃんと葉っぱ取れてるじゃないですか」
「え?」
「ほら、ココに」
笑顔の八戒が開いて見せたのは、小さいコートに付いている小さいフードの中。
三人が覗きこんだ視線の先にあるのは…。
「はっぱだー!」
「悟浄、フードで葉っぱとってたんですね!」
「すごいぞ!」
八戒が取り出した葉を受け取った悟浄は、お耳をピルピル振り喜びを表す。
「あしたはおててでとる!」
「きっと取れますよ」
「がんばろうな!」
「うん!」
決意新たにする悟浄の頭に伸びた三人の手は、赤い髪がグチャグチャになるほど撫で続けたのだった。
元よりマメな青年だが、小さくて愛しい存在と共に過ごすようになってから、ますますマメさが増し、庭はちょっとした庭園のようだった。
季節ごとに咲き乱れる花々や、色を変える木々の葉は、大人だけではなく子猫ちゃんたちも楽しませる。
「うにゃー!」
「うにゃにゃー!」
庭を走り回る子猫ちゃんたちのはしゃぐ声は、室内に居る飼い主にも勿論届いた。
「楽しそうですねぇ」
淹れてもらった珈琲を口に運びながら庭に目をやる天蓬は、おそらく自分では気付いてないだろうと思われるぐらい微笑んでいて。
そんな従兄弟の顔を見られる事が出来た八戒も、表情は常にないほど柔和だ。
「寒くてもヘッチャラですもんね」
「子猫ちゃんは元気が一番ですv」
「確かに」
そんな会話がされてるなんて全く知る事もない子猫ちゃんたちは、木から舞い落ちる葉を掴まえようと必死だった。
「まて!まて!」
「こっち!こっち!」
プクプクホッペを真っ赤にさせて、小さいおててを一生懸命に空へ向ける。
子猫ちゃんたちにとって、ただ落ちる葉でさえ自然が提供してくれた遊びの一つなのだ。
「そろそろお家に入らなきゃダメですよ」
さすがに身体を気にした八戒が声を掛けると、子猫ちゃんたちはうにゃうにゃ言いながら駆け寄ってくる。
「あのな、あのな、おれいーっぱいとれた!」
捲簾の両手イッパイに掴まれたのは、綺麗に色付いた葉っぱたち。
「凄いですねぇ」
飼い猫の成果に天蓬が目を細める。
「悟浄はどうでした?」
子猫ちゃんたちが脱いだ、フード付きのコートを受け取りながら八戒が問うと、赤いお耳がヘニョンと下を向いた。
「…おれ、ぜんぜんとれなかった」
「…そういう時もありますから、明日また頑張ってみましょうね」
「…うん」
「ごじょうなっ、とってもおしかったんだ!もうちょっとだったんだ!」
弟の努力を必死に力説する捲簾に、飼い主二人が微笑んだ時。
「あれ?」
コートを手にしていた八戒が上げた声に、三人の視線が集まる。
「おれ、おようふくよごしたか?」
「そんな事じゃないですよ。…悟浄、ちゃんと葉っぱ取れてるじゃないですか」
「え?」
「ほら、ココに」
笑顔の八戒が開いて見せたのは、小さいコートに付いている小さいフードの中。
三人が覗きこんだ視線の先にあるのは…。
「はっぱだー!」
「悟浄、フードで葉っぱとってたんですね!」
「すごいぞ!」
八戒が取り出した葉を受け取った悟浄は、お耳をピルピル振り喜びを表す。
「あしたはおててでとる!」
「きっと取れますよ」
「がんばろうな!」
「うん!」
決意新たにする悟浄の頭に伸びた三人の手は、赤い髪がグチャグチャになるほど撫で続けたのだった。
きょうは、はっかいとおかいものなんだv
ちびっとさむくなってきたから、ちゃんとぬくぬくのかっこして、おかぜなんてひかないようにするんだ。
おかぜひいたら、はっかいがとーってもしんぱいするもんな!
きょうのおかいものは、スーパーじゃないんだ。
はっかいがよくのむコーヒーのもとをかいにいくんだ。
「いらっしゃいませ~」
おみせにはいったら、てんいんさんがこえかけてくれた。
ここのおねえさんは、いいひとだ。たまにぎゅうにゅうくれるしv
「こんにちわ、八戒さん」
「こんにちわ。今日は何の豆にしようかな…」
はっかいがみてるのは、こげちゃいろのつぶつぶがいーっぱいはいってるけーす。
これをごりごりこなにして、おゆいれて、のむんだ。
んまいのかな?にがそうだけどな。おみせもにがいにおいがするし。
「…それじゃ、これを200グラムといつもの…」
はっ!おれしってる!
はっかいがかういつものいえる!
「おれっ、ちゅうもんする!」
「悟浄?」
「ちゃんとおぼえてる!」
「それじゃお願いしてもらおうかな?」
「うん!」
かおをいーっぱいうえにあげたら、けーすからおねえさんがからだいっぱいだして、おれをみてくれてた。
よーしっ!がんばってちゅうもんするぞ!
「んとなっ、んとなっ、はっかいのいつものだ!ぶるー…ぶるーにゃうんてん!」
ふー、ちゃんといえたv
…あれ、はっかいもおねえさんもなんでにこにこしてるんだ?
「悟浄、ちゃんと覚えてくれてありがとうございますv」
「はっかいのことは、ちゃーんとおぼえてる!」
「嬉しいなぁ。それじゃ、ブルーニャウンテンも200グラムお願いします」
「かしこまりました」
ふんふん!おれ、はっかいのじまんのかいねこに、またちょっとちかづいたv
コーヒーのおみせからでるとき、「良いモノを見せていただいたので」っていったおねえさんが、おはなのかたちしたおさとうくれた。
かわいいv
でも、いいものっていつみたんだろう?
おとなってふしぎがいっぱいだ。
ちびっとさむくなってきたから、ちゃんとぬくぬくのかっこして、おかぜなんてひかないようにするんだ。
おかぜひいたら、はっかいがとーってもしんぱいするもんな!
きょうのおかいものは、スーパーじゃないんだ。
はっかいがよくのむコーヒーのもとをかいにいくんだ。
「いらっしゃいませ~」
おみせにはいったら、てんいんさんがこえかけてくれた。
ここのおねえさんは、いいひとだ。たまにぎゅうにゅうくれるしv
「こんにちわ、八戒さん」
「こんにちわ。今日は何の豆にしようかな…」
はっかいがみてるのは、こげちゃいろのつぶつぶがいーっぱいはいってるけーす。
これをごりごりこなにして、おゆいれて、のむんだ。
んまいのかな?にがそうだけどな。おみせもにがいにおいがするし。
「…それじゃ、これを200グラムといつもの…」
はっ!おれしってる!
はっかいがかういつものいえる!
「おれっ、ちゅうもんする!」
「悟浄?」
「ちゃんとおぼえてる!」
「それじゃお願いしてもらおうかな?」
「うん!」
かおをいーっぱいうえにあげたら、けーすからおねえさんがからだいっぱいだして、おれをみてくれてた。
よーしっ!がんばってちゅうもんするぞ!
「んとなっ、んとなっ、はっかいのいつものだ!ぶるー…ぶるーにゃうんてん!」
ふー、ちゃんといえたv
…あれ、はっかいもおねえさんもなんでにこにこしてるんだ?
「悟浄、ちゃんと覚えてくれてありがとうございますv」
「はっかいのことは、ちゃーんとおぼえてる!」
「嬉しいなぁ。それじゃ、ブルーニャウンテンも200グラムお願いします」
「かしこまりました」
ふんふん!おれ、はっかいのじまんのかいねこに、またちょっとちかづいたv
コーヒーのおみせからでるとき、「良いモノを見せていただいたので」っていったおねえさんが、おはなのかたちしたおさとうくれた。
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でも、いいものっていつみたんだろう?
おとなってふしぎがいっぱいだ。
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