怖いのです。

　ハクは長い間前髪がなかったので、急に作ってもなかなか分け目が消えません。
　美容師さんが言った、「引っ張って！乾かす時も普段も下に落としてっ！」という言葉を忠実に守ろうと引っ張っていたのですが・・・。
　目に入る。
　引っ張ると目に入る。
　そんな微妙な長さなもんだから、普段でもふたえの部分に挟んじゃって奇妙な感覚に陥り、常に目元を弄ってしまう始末。
　今日もドライヤー使ってたらザクザク目に入ってくるので・・・・。
「鬱陶しいんじゃーーっ！！」
　顔の下にゴミ箱置いて、おとっときの洋裁用のハサミ（注：１００円ショップで購入）で１センチほど短くしてやりましたよ。
　ふぅ～、これでもう目にザクザクしない。スッキリスッキリ。
　テレビ見てると、中途半端に目にかかってる前髪の方が多いですが、邪魔じゃないのかしら・・・。

　ハクが深夜で働くようになって一年半ぐらい経つのですが、その間、何度か「もう辞めよう」と思った事があるのですね。
　そりゃ働いてりゃそういう事もあるわけです。
　で、その原因の一つが、昨夜起こったワケです。
　今、暑いじゃないですか。
　確かに夜は気温も落ちて涼しくもなるんですが、身体動かして働いてると、やっぱり暑いんですよ。
　職場は基本冷房入らないし、となると、窓を開けて風を取り入れるしかないわけです。
　・・・・窓に、網戸なんて入ってないんですよね・・・・。
　近くに木が多く茂ってるせいか、もうね、虫が・・・っ！つーかハエっぽいのが・・・っ！！
　前日、虫で鬱陶しい思いをしたおじいちゃんの一人が、殺虫剤を買ってきてくれまして。
　ハクは昨夜は初めから手仕事をやる事になったので、２階の作業場周りに振ってくれたんです。
　が・・・・、全く近寄って来ないハズもなく・・・。
　殺虫剤振ってくれた所からちょっと離れた所で、蛍光灯にものすごいたかってるんです。
　１匹２匹じゃなくて、一カ所で７～８匹ぐらい。
　それが、作業する場所に何カ所か出来ちゃって・・・。
　全部合わせたら、蚊柱ならぬハエ柱が出来る勢い。
　おじいちゃんがその度に殺虫剤を振ってくれるんですが、すぐに死ぬワケじゃないんで、落ちてくるまでに時間が掛かるんですよ。
　それがまた怖くて、ハクさん挙動不審。
　ハクの耳は、聞き取りにくい耳なんですが、どういうワケかこういう自分にとってイヤな音は聞こえるんですよねぇ・・・。
　羽音と、殺虫剤でぽとぽと落ちる音が。
　もうダメ。ホントダメ。聞こえないハズの場所にいても、羽音が聞こえるぐらい気持ち悪い。
　ホントに気持ち悪そうにしてたらしく、「大丈夫ですか？」なんて心配させてしまったり、普段は「時間が来たらすぐに２階にあがってきちゃいなよ。その方が帰りやすいから」なんて言ってくれるおじいちゃんが「今日はあがってこない方が良い！１階で散歩してりゃ良いよ！」なんて言うぐらい。
　──いや、ホントに散歩はしなかったです。そこまで広い職場じゃないし（笑）。
　結局、時間つぶしの仕事もあったんですが、２階にあがって手作業しました。
　殺虫剤で落ちた奴らがいるので、足元や荷物置いた手元を極力見ないようにしながら、もう淡々と。
　まだ６月なのに・・・っ、もうこんな状態だったら夏本番になったらどうなっちゃうんだろう・・・っ！？
　両手両足首に、虫除けバンドつけてもダメだろうなぁ、やっぱり・・・。
　虫が平気な人はたいした話じゃないんでしょうけど、嫌いなハクには大問題です・・・。うぅ・・・。